2025年ベトナム経済総括:GDP成長率8%と所得5,000ドル突破で見えた「新時代」

ベトナム株戦略

国家統計局(GSO)の2025年通期および第4四半期の社会経済状況レポートから、投資家やビジネスに関わる方が押さえておくべき要点をまとめました。

ベトナム経済は2025年、当初の政府目標を大きく上回る力強い足取りを見せました。

国家統計局が発表した最新のデータは、マクロ経済の安定と、製造業・観光業の完全な復活を物語っています。

前回の政治体制のトピックと合わせると、ベトナムがいかに強力な「成長の慣性」を持って新体制へ移行しようとしているかが数字から鮮明に浮かび上がります。

レタントン
レタントン

2026年ベトナム新時代の幕開けです。


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統計局データからみたベトナム経済

GDP成長率:右肩上がりの加速と8.02%の着地

2025年通期の実質GDP成長率は8.02%(推計値)となりました。 特に注目すべきは第4四半期の勢いです。

  • 第4四半期:8.46%
  • 通期:8.02%

第1四半期の7.05%から四半期を追うごとに成長が加速しており、第4四半期の8.46%は2011年以降で最高の水準を記録しました。世界経済の不透明感が漂うなかで、この「加速しながらの着地」は、ベトナム経済の地力の強さを示しています。

豊かさの節目:1人当たりGDPが5,000ドルを突破

重要指標として見逃せないのが、購買力の変化です。

2025年の1人当たりGDPは5,026ドル(前年比326ドル増)に達しました。

ベトナム政府が掲げる「2045年までの高所得国入り」に向けた重要なマイルストーンを通過したことになります。

5,000ドルを超えると消費構造が変化し、耐久消費財やサービスへの支出が急増する傾向にあります。

実際、社会消費財・サービス小売売上高は前年比で9.2%増加しており、内需の底堅さが際立っています。

製造業の独走:成長を牽引するメインエンジン

産業別では、製造業が依然として経済の牽引役となっています。

  • 鉱工業生産指数(IIP):前年比9.2%増
  • 製造業:前年比10.5%増

製造業が2桁近い成長を維持していることは、サプライチェーンの移管先としてベトナムが選ばれ続けている証拠です。

労働生産性も前年比で6.83%向上しており、単なる「安価な労働力」から「付加価値を生む拠点」への進化が数字に現れています。

貿易と外貨:200億ドル規模の貿易黒字

外需についても、極めて良好な結果となりました。

  • 輸出:4,750億ドル(前年比17.0%増)
  • 輸入:4,550億ドル(前年比19.4%増)

通期で約200億ドルの貿易黒字を確保しています。

輸出の約77%が外資系企業(FDI)によるものですが、輸入の93%が生産設備や原材料といった「資本財」で占められており、将来の輸出に向けた投資が活発に行われていることが分かります。

最大の輸出相手国は米国(1,532億ドル)、最大の輸入相手国は中国(1,860億ドル)という構図も揺るぎません。

観光業の完全復活:2,100万人超の来訪

サービス部門の成長を支えたのは観光業です。

2025年の外国人訪問客数は約2,120万人(前年比20.4%増)に達し、過去最高を記録しました。

これにより、宿泊・飲食サービス業は10.02%の成長を見せています。

インフレ制御:4%未満に抑え込まれたCPI

これだけの高成長を維持しながら、消費者物価指数(CPI)の上昇率は3.92%に抑えられました。

政府目標の4%〜4.5%の枠内に収まっており、通貨ドンの安定にも寄与しています。

マクロ経済の安定性が評価され、

Fitch Ratingsがベトナムの格付けを「BBB-」に引き上げたことも、投資家にとっては大きな安心材料です。

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ベトナム経済の潜在的なリスク

「二極化」の象徴:異常な企業解散数の増加

GDPが8%成長している一方で、足元の企業経営は非常に過酷な二極化が進んでいます。

12月単月で解散手続きを完了した企業は5,045社に達し、前年同月比で115.1%という異常な増加を記録しました。

大手や外資系企業が数字を牽引する一方で、地場の内需企業がコスト高や競争激化で耐えきれなくなっている現実が透けて見えます。

インフレの「4%」というデッドライン

ベトナム政府が最も神経を尖らせ、株式市場の流動性に直結するのが消費者物価指数(CPI)です。

2025年通期のCPI上昇率は3.92%。政府が目標とする許容上限「4.0%」まで、あとわずか0.08ポイントというところまで肉薄しています。 もし、この4%のラインを明確に突き抜けて定着するようなことになれば、中央銀行は景気よりも物価抑制を優先し、利上げへ舵を切らざるを得なくなります。

毎月のCPIが4%を「守れるか、超えるか」は、相場の転換点を判断する最大の指標となります。

製造業の「在庫指数」と利益率の攻防

製造業の強さが目立つ一方で、不穏な動きを見せているのが在庫の数値です。

2025年末の製造業在庫指数は、前年比で13.1%増となりました。

これは前年の上昇幅(10.4%)を上回るスピードで在庫が積み上がっていることを示しています。

輸出が好調な時期の在庫増は「未来の売上」ですが、伸び率が在庫増に追いつかなくなれば、それは企業の「重荷」へと変わります。特に原材料価格の高騰が続く中で、在庫が積み上がり続けることは企業の利益率(マージン)を圧迫します。

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投資家への視点:2026年へのバトン

2025年のこの数字は、新体制への最高の「手土産」となりました。

2026年はAMROなどの機関が7.6%〜8.0%の成長を予測しており、新体制が掲げる「10%成長」が単なる夢物語ではないことを予感させます。

注目すべきは、今回の大増益を背景に、政府がデジタル変革やグリーン転換への投資を加速させている点です。

伝統的な製造業に加え、2026年以降はハイテク・半導体分野での「国策案件」が、次の投資テーマの中心になってくるでしょう。


本記事は国家統計局(GSO)の公表データに基づき作成されています。投資の最終判断はご自身でお願いいたします。

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