今回は、ベトナム株の業界・セクター別の動向についてまとめました。
近年、ベトナム経済は海外からの投資拡大、富裕層の増加による内需の拡大、インフラ投資の強化など、多方面で急成長を遂げています。
しかしながら、すべてのセクターが均等に成長しているわけではなく、コロナの影響を受けた業界や、先行投資がかさみ利益をまだ十分に出せていない企業もあります。
そのため、どの業界・セクターに投資するかを見極めることが、成功のカギとなります。
本記事では、2025年に成長が期待される主要セクターを整理し、投資判断の参考となる情報をまとめました。
ベトナム株の投資戦略を考える上で、ぜひご活用ください!
2025年のベトナム株式市場、注目の業界は?
ベトナム経済は、政府の成長戦略や海外投資の増加を背景に、引き続き発展が期待されています。
しかし、すべての業界が同じペースで成長するわけではなく、分野ごとに異なる動きを見せることが予想されます。
デジタル化の進展に伴い、IT・通信分野では5Gやクラウド、AI関連の技術開発が進み、企業の成長機会が広がっています。
金融業界では低金利政策とデジタルバンキングの普及が成長を後押しし、不動産やインフラ分野では都市化の進展により開発が継続しています。
一方、観光業はコロナ禍から回復傾向にあるものの、外部要因の影響を受けやすく、エネルギー分野では再生可能エネルギーへの移行が進む中、政策の変化が事業環境に大きく影響を与えると考えられます。
2025年の市場動向を考える上では、それぞれのセクターの成長性や課題を理解し、投資の機会を見極めることが重要になります。
ベトナム株式市場の業界別分析
ベトナム株式市場を業界・セクターごとに分析し、注目すべき分野を整理しました。
成長が期待される業界や割安な銘柄を見つけるヒントとして、ご活用ください。
銀行業界
銀行業界は、ベトナム株式市場の中核を担うセクターであり、上場企業全体の利益の34%を占めています。
国内には26の上場銀行があり、商業銀行を中心に安定した成長を続けています。
本年の展望として、以下の点が注目されます。
- 貸出成長の継続:低金利政策の継続により、企業融資や個人ローンの拡大が期待される。
- デジタルバンキングの進展:キャッシュレス決済が普及し、フィンテックとの連携が進む。
- 外国資本の流入:新興市場昇格への期待から、海外投資家の関心が高まる。
銀行業界は、利益成長率が高く、ポートフォリオの中心に据えやすいセクターです。
経済成長とともに金融サービスの需要も拡大しており、今後も安定した成長が見込まれます。
IT業界|2025年の展望と業界概要
ベトナムのIT業界は、政府のデジタル化推進や海外投資の拡大を背景に、急成長を続けるセクターです。
特にAI・クラウド・5Gといった新技術の導入が進み、国内外の企業からの注目が高まっています。
一方で、技術人材の確保やインフラ整備が課題として挙げられます。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- AI・クラウド市場の成長:大手IT企業がデータセンターやクラウド事業に積極投資。
- 5Gの普及加速:通信インフラの整備が進み、モバイルサービスの高度化が進行。
- 海外企業との提携:グローバルIT企業との協業により、技術革新が加速。
- デジタル人材の不足:業界成長に伴い、高度なスキルを持つエンジニアの需要が急増。
IT業界は、国内市場の成長とともに、海外企業の投資拡大や技術発展により、今後も大きな可能性を秘めた分野です。
証券業界
ベトナムでは個人投資家の増加が続いており、証券市場への関心は依然として高いものの、市場低迷の影響で証券会社の業績は二極化しています。
特に、自己勘定取引(証券会社自身の売買)が多くの企業の収益を支える構造となっており、市場の動向に業績が左右されやすい特徴があります。
本年の展望として、以下の点が注目されます。
- 個人投資家の動向:若年層を中心に証券口座の開設は増加傾向。
- 海外投資の拡大:新興市場昇格の期待から、海外投資家の関心が高まる。
- デジタル化の進展:オンライン取引が普及し、利便性が向上。
証券業界は、市場の回復とともに成長の可能性を持ちます。
不動産業界(住宅)
住宅不動産業界は、成長著しいベトナムにとって最重要な業界です。
マイホームブームが起きており、需要が旺盛です。
工業用不動産業界
工業用不動産業界は、ベトナムの経済成長を支える重要なセクターの一つです。
近年、「脱中国」の流れを受けた外資企業のベトナム進出が加速し、工業団地の需要が高まっています。
特に、欧米の企業に加え、中国や台湾、韓国などのアジア企業の投資も活発化しています。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- 外資企業の工場移転が加速:地政学リスクの回避やコスト削減のため、製造業のベトナム移転
- インフラ整備の進展:高速道路、港湾、空港の拡張により、物流の利便性が向上。
- 工業団地の開発拡大:政府の支援を受け、新規工業団地の開発や既存エリアの拡張が進む。
工業用不動産業界は、外資企業の進出増加とインフラ整備の進展を背景に、2025年も成長が続くと予想されるセクターです。
エネルギー
エネルギー価格の高騰と産業の拡大により、ベトナムのエネルギー需要は今後も増加すると予想されています。
特に再生可能エネルギーの導入が進んでおり、政府は風力・太陽光発電への投資を強化しています。
一方で、電力供給の安定化やエネルギーインフラの整備も課題となっています。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- 電力需要の増加:工業化・都市化の進展に伴い、電力消費が拡大。
- 再生可能エネルギーの拡充:風力・太陽光発電の比率を高める政策が進行中。
- エネルギー輸入依存の軽減:LNG(液化天然ガス)などの国内供給体制の強化が進む。
エネルギー業界は、今後も電力需要の拡大とクリーンエネルギーへの移行により成長が期待される分野です。政策の動向とともに、エネルギー関連企業の成長にも注目が集まります。
電力業界
ベトナムの電力業界は、大きく 発電、送電、配電、小売 の4つのセクターに分かれており、2025年は電力自由化の流れもあり、大きく変わろうとしています。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- 電力需要のさらなる増加
工業化・都市化の進展により、特に工業・建設業を中心に電力消費が拡大。電力供給の安定確保が重要な課題となる。 - 再生可能エネルギーとLNG火力の拡大
石炭火力への依存が続く一方で、風力・太陽光発電の導入が加速し、LNG火力の比率も増加。政府のエネルギー多様化政策が進む。 - 電力市場の自由化とEVNの独占緩和
政府は電力市場の自由化を加速し、EVNの独占を緩和。民間企業の発電・送電事業への参入が進み、競争環境が変化する見通し。
水力発電
原油高騰に伴い水力発電が注目を浴びています。
この流れは2025年も続いていくでしょう。
物流業界(港湾・物流・海運)
物流業界は、ベトナムの経済成長と貿易の拡大を支える重要なセクターです。
特に、電子商取引(EC)の成長や製造業の発展に伴い、国内・国際物流の需要が増加しています。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- EC市場の拡大:オンラインショッピングの普及により、小口配送の需要が増加。
- 輸出入の増加:自由貿易協定(FTA)の活用が進み、国際物流の活発化が期待される。
- インフラ整備の進展:新たな港湾や高速道路の整備が進み、物流効率が向上。
- コスト上昇の懸念:燃料費や人件費の高騰が、業界全体の収益に影響を与える可能性。
物流業界は、ECや貿易の成長により長期的な需要は拡大する一方で、インフラやコストの課題も抱える業界です。
小売業界
ベトナムでは、経済安定と共に、中間層の増大から小売業界は非常に盛り上がりを見せています。
その流れは、ハノイ、ホーチミンの大都市から地方都市にも広がりを見せています。
2021年はコロナの影響で、少し売上が落ちた会社もありますが、今後とも強く伸びていくと思われます。
鉄鋼業界
鉄鋼業界は、インフラ投資や製造業の成長を背景に、安定した需要が期待されるセクターです。
都市開発や交通インフラ整備が進む中、国内の鉄鋼消費は引き続き拡大する見込みです。
2025年の展望として、以下の点が注目されます。
- 建設・インフラ需要の増加:都市化の進展に伴い、鉄鋼需要が拡大。
- 輸出市場の強化:東南アジア諸国向けの輸出拡大が期待される。
- 原材料コストの影響:鉄鉱石・石炭価格の変動が企業収益に直結。
- 環境規制の対応:排出規制強化により、低炭素製鉄への投資が進む。
鉄鋼業界は、成長のチャンスがある一方で、コスト上昇や市場環境の変化に注意が必要な分野です。
肥料業界
農業国家であるベトナムは安定した肥料の供給が必須となります。
肥料業界は比較的安定した国内需要に支えられ、また今後世界的な食糧危機から輸出も伸びている業界です。
業界・セクター別の収益動向
業界・セクター別の時価総額・利益の動向を調査しています。
どの業界が儲かっているのか、こちらをみて検討することができます。
セクター別の指数については下記をご参照ください!
高配当株銘柄
こちらには高配当株のまとめを行っています。
まとめ
ベトナムの経済は急速な成長を遂げており、多様な業界が投資のチャンスを秘めています。
この記事では、銀行業界からエネルギーセクター、不動産業界まで、ベトナムの主要な業界を徹底的に分析しています。
特に、コロナの影響を受けつつも回復の兆しを見せる業界、新興の成長産業、そして安定した利益を上げ続ける企業群に焦点を当てています。
これらの分析を通じて、投資家はベトナム市場での戦略を練り、リスクを最小限に抑えつつ最大のリターンを追求する手助けになればと思っています!
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