2023年3月2日午前に開催された第15回国民議会の第4回臨時総会で、政治局員で事務局の常務書記官であるヴォ・ヴァン・トゥオンを国家主席に選出する決議を可決しました。
グエン・スアン・フック国家主席が、職権乱用・収賄などで、多数の政府高官らが関わった汚職事件の政治的な責任を取り、辞任したことにより、任期途中での交代となりました。(本問題をめぐっては1月5日に副首相2人も同時に解任されています)
ベトナム社会主義共和国となった1976年以降、国家元首が任期途中に辞任したのは初めてのことです。
任期は2026年までです。
腐敗や汚職で、政治的な混乱が続いています。
新しい国家主席に期待したいところです。
出身
1970 年12月13日、52歳
Hai Duong省生まれ
出身地は、Vinh Long(ビンロン)という町です。
ホーチミン市から南に135km、カントーから北に33km離れ、ティエンザン川とハウザン川の間に挟まれた沃野地帯で、メコン・デルタ地帯の中心に位置する町です。
【Google Map】でVinh Long市の位置を確認
学歴
- ホーチミン市大学・哲学部マルクス・レーニン主義哲学を専攻(学位)
- ベトナム国立大学・社会科学人文大学・哲学を専攻(修士号)
マルクス・レーニン主義とは
マルクス主義をベースにレーニンが発展させた社会主義国家実現に向けた共産主義思想です。
マルクス主義が理論中心であったものに対して、レーニンがロシアの状況に合わせて、実践的に定義していったものです。
ベトナムはこの主義に加えて、
ホーチミン氏の思想を加えた考え方を採用しています。
経歴
経歴は下記のようになっています。
年月 | 経歴 |
---|---|
1992年 | ホーチミン市大学で哲学を学ぶ学生、ユースユニオンの副書記となる |
1999年 | ホーチミン市大学で哲学の修士号を取得して卒業する |
1993年 | ベトナム共産党入党 ホーチミン市青少年組合の専門大学部門の副会長、その後委員会の委員長となる |
1995年 | ホーチミン市学生組合の副会長兼書記長となる |
2000年 | ホーチミン市学生組合の会長・ベトナム学生協会副会長となる |
2002年 | ユースユニオン副書記兼ホーチミンシティ・ユースユニオン会長となる |
2003年 | ホーチミン市の共産主義青年同盟の書記となる |
2004年 | ホーチミン市の第12地区党委員会の書記となる |
2006年4月 | 第10回党大会で党中央委員会の補欠委員に選出となる |
2006年10月 | ホーチミン共産党・青年同盟中央委員会・常務書記に任命される |
2006年11月 | ホーチミン共産主義青年同盟の中央委員会の一等書記官に選出される |
2007年7月 | 第12回国会議員に当選する |
2011年1月 | 第11回党大会で、党中央委員会のメンバーに選出される |
2011年8月 | クアンガイ省党委員会書記に任命される |
2014年4月 | ホーチミン市党委員会の常務副書記に任命される。 |
2015年10月 | ホーチミン市党委員会常務副書記の地位に再選される ホーチミン市党委員会の仕事を任される |
2016年1月 | 第12回党大会で、党中央委員会のメンバーに選出される 党中央委員会の第一回会議で、政治局に選出される |
2016年2月 | 党中央委員会の事務局に加わるように任命され、 中央宣伝部の責任者の地位に就く |
2021年1月 | 第13回党大会で、中央委員会のメンバーに選出される。 党中央委員会の第一回会議で、政治局に選出される |
2021年2月 | 事務局の常任委員会の地位に任命される |
2021年6月 | 第15回国会議員に選出される |
2023年3月 | ベトナム社会主義共和国・第11代大統領に任命される |
キャリア的には、南部・ホーチミン市で活躍してきました
政治信条
ベトナムは、
- 2030年までに近代産業と高中所得を備えた発展途上国
- ベトナム社会主義共和国の100周年である2045年までに社会主義志向の高所得先進国
になることを目指しています。
この目標を達成するために、「国と政権にとって重要な原則」が、
- マルクス・レーニン主義とホー・チ・ミンの思想の創造的な実施を貫く
- 国家の独立と国家の目標を追求する
ことに確固としております。
ヴォ・ヴァン・トゥオン氏は、この原則を貫くことを固く宣言しています。
また、現在の状況を踏まえて
- 社会主義を堅持し、党の刷新努力を堅持し、国家の最高の利益を確保する
- 腐敗との闘いに尽力し、誠実さを備えた透明性のある国家機関を構築する
- 国とすべての愛国的なベトナム国民の最善の利益になるすべての意見に率直に耳を傾ける
などのことを誓約しました。
まとめ
経済政策や行政については首相が受け持っており、国家主席の交代により、ベトナム経済などへの影響は直接的にはないと考えられます。
ただ、不正・腐敗が進んでしまっていることが明らかになっており、政治的な混乱を抑えることが、ベトナムにとって重要なことかと考えられます。
この交代がどのようにベトナム政界や財界に影響が出てくるか、注目していきたいです。
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