今回はベトナムを代表する金融機関、ホーチミン開発銀行(HDBank:ティッカーHDB)をご紹介いたします。
HDBankは、ベトナムの金融業界をリードする存在であり、その戦略的な拡大と堅実な財務管理により、国内外でのプレゼンスを強化し続けています。特に持続可能な金融とデジタルトランスフォーメーションに注力し、革新的なサービスを提供することで、成長を続けています。
また、グループ会社との連携を通じて、シナジー効果を追求しています。これにより、金融業界の未来を切り開く存在として注目されるHDBankの動向は、今後も目が離せません。
ベトナム発の金融リーダーがどのように成長を遂げていくかを見守りつつ、銘柄検討の参考にしていただければ幸いです。
会社概要
会社概要
ホーチミン開発銀行(HDBank)は、1989年に「ホーチミン市住宅開発銀行」として設立され、2011年に現在の名称に改称されました。
HDBankは主に資金の貸し出しおよび信用供与を行う商業銀行として、ベトナム国内において広範な金融サービスを提供しています。全国63省・市にわたる1万9513か所の営業網と830万人以上の顧客基盤を持ち、ベトナム国家銀行が求める国際的な資本規制「バーゼルⅡ」の適用を完了しています。
子会社のHDセゾン・ファイナンス(HD Saison Finance)は、ベトナム国内でトップブランドの消費者金融会社として知られています。HDセゾンはバイク購入向け融資、家電購入向け融資、現金貸付などを主な事業領域としており、特にバイク購入向け融資では業界トップのシェアを誇ります。2015年には日本のクレディ・セゾンが49.0%の株式を取得し、事業を拡大しています。
HDBには、ソビコ・ホールディングス(Sovico Holding)、格安航空会社最大手のベトジェットエア【VJC】(Vietjet Air)も出資しています。
ベトジェットエアのCEOで有名なNguyen Thị Phương Thảo(グエン・ティ・フオン・タオ)氏は、HDBankの常任副会長を務めており、銀行の戦略的発展に重要な役割を果たしています。タオ氏のリーダーシップの下で、HDBankはベトナム国内外での地位を強化し、2022年には史上最高益を記録するなど、急速な成長を遂げています。
クレディセゾンが出資する消費者金融の子会社を持つ大手銀行です。
コロナで苦しんでいますが、ベトナムの発展とともに大きく成長する会社ですね。
事業戦略・マーケット
デジタルトランスフォーメーションの推進
英経済紙Asiamoney選出
2021年ベトナム最優秀デジタル銀行賞を受賞
- 窓口での顧客対応デジタル化
- オンライン本人確認サービスeKYC
- ビデオ通話によるeKYCを駆使したオンライン顧客対応
- 内部情報交換のデジタル化、
- ビッグデータ収集・分析、
- RPAテクノロジーを駆使したプロセスの自動化
- ボイスボット導入
グループ会社とのシナジーの強化
HDBankは、ベトジェットエアやHDセゾン・ファイナンスなどのグループ会社との連携を強化し、クロスセルリングや共同プロジェクトを通じてシナジー効果を追求しています。
これにより、グループ全体での事業拡大と収益性の向上が期待されます。具体的には、ベトジェットエアの顧客基盤を活用した新たな金融サービスの提供や、HDセゾン・ファイナンスを通じたリテールバンキングの強化が進められています。
公式ホームページ
HD Bank社の財務分析
2024.8月更新
データはSSI証券から取得しています♪
収益
2023年の売上は26,414億ドン、経常利益は10,336億ドンとなりました。(利益率39.1%)
2024年の売上は33,113億ドン、経常利益は13,241億ドンの計画です。(利益率40.0%)
前期と比較して、売上:25.4% 経常利益:28.1%の成長率です。
HDBankの売上は2020年から一貫して増加しており、特に2023年以降の急激な成長が目立ちます。2024年と2025年にはさらに加速しており、40,000億ドン以上に達する見込みです。売上増加に伴い、利益の増加が顕著であり、これにより銀行の財務状況がさらに強化される見込みです。
2024年の予想EPSは、4,554VNDになります。
HDBankのEPS(1株当たり利益)とBPS(1株当たり簿価)も同様に安定した成長を見せています。2020年に一時的な落ち込みがあったものの、その後は回復し、2023年から2024年にかけて大幅な成長を遂げています。
自己資本比率
自己資本比率は、7.7%です。
総資産と総負債が共に増加しているにもかかわらず、自己資本比率が大きく変動していないことから、HDBankは資産拡大と同時に財務の健全性を維持していることがわかります。
1株あたり収益・資本、ROE/ROA
ROEは、24.7% ROAは、2.0%です。
ROEは、全期間を通じて着実に増加しています。
特に2022年から2023年にかけて急上昇し、25%近くに達しています。
これは、HDBankが効率的に自己資本を活用し、株主に対して高いリターンを提供していることを示しています。
資産と自己資本も年々増加しており、特に2023年に顕著な成長が見られます。事業規模を拡大し、同時に財務の健全性を維持していることが確認できます。
キャッシュフロー
2023年には事業活動によるキャッシュフローが大幅に増加しており、現金の蓄積が進んでいます。これは、HDBankの営業活動が好調であり、財務の健全性が強化されていることを示しています。
配当利回り
2024年に1000ドンの配当予定です。
チャート
現在の株価は下記のようになっています。(FinAnt提供)
今後の見通し
ビジョンの追求
2021年株式総会にて
Thao副会長
(Vietjet会長)
HDBankは、そのビジョンを実現し、2021年から2025年までの新しい5年間の戦略で設定されたコア目標(ビジネス戦略、人材、デジタルトランスフォーメーション、開発アライアンスの確立、イノベーションプログラム)を達成するために必要なすべての条件を統合しました。
これには、市場のトップ銀行の1つになることも含まれます。それにより、顧客、株主、従業員に幸福と繁栄をもたらし、国の社会経済的発展に積極的に貢献します。
「私たちは、戦略的パートナー、主要企業、FDI、中小企業と継続的につながり、国内外のビジネスネットワークを拡大していきます。新しい戦略的パートナーはHDBankと協力して、多様な貿易金融プログラム、開発投資銀行セグメント、およびその他の高度な金融サービスを共同で展開します」
2021年株式総会(Thao副会長)
デジタルトランスフォーメーションの推進
最新のCoreBankingシステムやデジタルプラットフォームの導入を通じて、デジタルトランスフォーメーションを加速させています。
これにより、顧客体験の向上と業務効率の改善を図り、特に若い世代やテクノロジーに精通した顧客層へのアプローチを強化します。これらの取り組みは、銀行の競争力を大幅に向上させるとともに、新しい市場機会を創出します。
グループ会社とのシナジー強化:
HDBankは、ベトジェットエアやHDセゾン・ファイナンスなどのグループ会社との連携を強化し、クロスセルリングや共同プロジェクトを通じてシナジー効果を追求しています。
例えば、ベトジェットエアの顧客基盤を活用した新しい金融サービスの提供や、HDセゾン・ファイナンスを通じたリテールバンキングの強化が期待されています。このようなグループ全体での戦略的な連携は、HDBankの事業拡大と収益性の向上に寄与していくと思われます。
<グループ会社ベトジェットのご紹介>
まとめ・株価予想(独断)
HDBankは、ベトナムの金融業界において堅実な成長を遂げている注目の銘柄です。
外国人枠の関係で購入が難しい時期もありますが、現在、外国人枠が空いており、今が購入の好機かもしれません。
PER5年平均7.5として、EPSが会社予定通りになると、株価予想は35,247ドンを超えるものとなります。銀行業界の平均PERからしても、低めですので、もう少し上があってもおかしくないと思われます。
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