今回は、ベトナム証券業界の各社を業績や業績予想などを比較していきたいと思います。
ベトナムでは株式投資が盛り上がりを見せており、2020年より証券口座の開設数が増えております。それに伴い、証券会社も空前の売上・利益を見せており、株価も右肩上がりで増えてきておりましたが、2022年の株価下落により、信用取引に大打撃を与えたことにより、業績は一気に悪化してしまいました。
今年は、損失を受けた投資家がどれだけ戻ってくるかにかかっている部分が多く、世界経済の行先も少し暗いことから、厳しい業績が予想されています。
<F0インベスター増加>
コロナ禍で株式投資を始めた個人投資をF0インベスター(エフゼロ)と呼んでいます。ベトナムではコロナ感染者をF0というコードで管理していることから、それらになぞらえて、このような呼び方が広まりました。個人の力は強く、株価にも影響を与えるパワーを持っています。
2023年展望
予測不能な展開
予測不可能な国内および世界の市場など、マクロ経済が依然として多くの課題に直面しており、流動性が急落している状況において、証券会社もベトナムの対照的な状況を記録する際に事業計画を立てるのに苦労しているようです。
一部の企業は、2023年の利益計画を発表しています。
これまでのところ、減益を予測している企業の数は、増益を計画している企業の数よりも多い状態です。
他業界は、証券会社が分析していますが、
この業界はどの証券会社も評価を出していません。
予想は難しいですね。
激化する競争の中、手数料・取引手数料は低下傾向
2019年中に取引手数料の下限率が撤廃されたことで、特にCovid後の個人投資家の急速な流入資金を目の当たりにした後、いくつかの証券会社は激しい競争環境で取引手数料を0%にしました。
それからの値下げ競争により、証券会社の収益力は落ちる傾向にあります。
2022年はその競争は一旦落ち着いた感はあるものの、注視していく必要があります。
長期的な下支え要因は、ベトナム株式市場に対する強気の見方
短期的な逆風にもかかわらず、中長期的には、株式市場のバリュエーションは魅力的な水準にあると考えています。
さらに、より洗練された商品 (空売り、オプションなど) が導入される可能性があり、市場参加への関心が高まる可能性がある。また、PBRが1に近づいている企業もあることから、割安感があり、株価が上がる可能性もあるとみている。
証券業界の会社紹介
ホーチミン証券取引所(HOSE)に17社、ハノイ証券取引所(HNX)に12社、店頭公開(UPCOM)に11社、計41社が企業が上場しています。
売上規模から15社をピックアップしています。
SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。
データは2022年12月末時点のものです。
- Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
- Growth(成長性)・・・成長株のランキング
- Momentum(勢い)・・・現在の勢い
- VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker | 社名 | 価値 | 成長性 | 勢い | 財務 |
---|---|---|---|---|---|
SSI | SSI証券 | C | A | A | A |
VND | VNダイレクト証券 | B | B | B | B |
VCI | ベトナムキャピタル証券 | B | B | B | B |
HCM | ホーチミン市証券 | D | B | C | C |
SHS | サイゴンハノイ証券 | A | A | B | A |
MBS | MB証券 | B | B | B | B |
VIX | VIX証券 | B | B | A | A |
FTS | FPT証券 | C | B | B | B |
BCG | バンブーキャピタル | D | A | A | B |
TVS | ティエンベト証券 | F | B | F | D |
OGC | オーシャンインベスト | F | D | B | C |
CTS | ヴィエティンバンク証券 | C | A | B | B |
AGR | アグリバンク証券 | D | C | B | C |
TVB | チーベト証券 | A | C | B | B |
BVS | バオベト証券 | B | C | B | B |
2022年株価推移
2022年の株価推移です。
その他の会社は、VN-INDEXを大幅に下回っています。
ひどい下げ方ですね。
2021年が良かっただけに、なおさら目立ちます。
ROE、PERのバブルチャート
縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。
昨年PER25付近まで買われていた業界トップのSSI証券が大きく下げており、PER8付近となっています。高かったROEも大きく下がっていることがあり、業界としての損失が大きかったことが図から読み取れます。
参考までに昨年のデータを残しておきます。
配当利回りランキング
2022年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。
昨年の配当実績÷年末の株価のため、今後の予想利回りではありません。
Ticker | 社名 | 利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|
VIX | VIX証券 | 8.71 | 35% |
BCG | バンブーキャピタル | 7.55 | 33% |
SSI | SSI証券 | 5.65 | 41% |
BVS | バオベト証券 | 3.88 | 29% |
VND | VNダイレクト証券 | 3.70 | 21% |
VCI | ベトナムキャピタル証券 | 3.01 | 31% |
HCM | ホーチミン市証券 | 2.50 | 24% |
FTS | FPT証券 | 2.20 | 18% |
会社個別の分析
SSI証券
この業界を引っ張る業界トップの企業です。
まとめ
今回は、ベトナムに上場している証券会社について、比較・まとめを行いました。
証券会社は、なかなか自社の株価予想を出さないため、この業界に対する今年の業績予想などもあまりでておらず、情報収集が難しい業界となっています。
今年かどうかはわかりませんが、いずれ株式ブームはベトナムにも再来すると思いますので、アンテナは張り続けていきたいと思っています。
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