2025年・港湾/物流/海運業界の各社比較とおすすめ

業界別

今回は、2025年度の港湾・物流・海運業界各社の分析および比較をしていきたいと思います。

2024年、ベトナムの港湾・物流業界は輸出入の拡大とインフラ整備の進展により、力強い成長を遂げました。一方で、世界的な海運コストの上昇や地政学的リスクが収益に影響を与えたことやキャパシティオーバー等m業界の課題として浮上しました。

2025年に向けて、政府のインフラ投資拡大と貿易成長が業界の成長を後押しすると期待されています。

本記事では、港湾・物流・海運業界の展望について解説します。

スポンサーリンク

2024年の振り返り

2024年のベトナム港湾・物流業界は、輸出入総額が前年比+15.9%と大きく成長し、貨物取扱量やコンテナ輸送量も堅調に推移しました。政府のインフラ投資が進み、物流ネットワークの強化が業界の発展を支えました。

一方で、海運コストの上昇や中東情勢の影響により、物流コストが増加。米中貿易摩擦の影響で貿易パターンに変化が見られ、一部の輸出入業務に影響を与えました。市場環境は好調だったものの、コスト増が収益性を圧迫する要因となった年でもありました。

港湾セクター

2024年の港湾業界は、輸出入の増加により貨物取扱量が大きく伸びました。一方で、処理能力の限界による混雑や遅延が課題となり、設備投資の必要性が高まっています。海運コストの上昇も、港湾運営に影響を与えました。

物流セクター

物流業界は、Eコマースの拡大と外国直接投資(FDI)の増加により成長を続けました。倉庫業やラストマイル配送の需要が高まり、物流サービスの多様化が進みました。しかし、燃料費や人件費の上昇、交通渋滞による配送の遅延がコスト増要因となり、収益性に課題を残しました。

海運セクター

海運業界は、輸送量の増加により成長しましたが、世界的な海運コストの上昇が収益を圧迫しました。

特に中東情勢の影響で航路変更や運賃高騰が発生し、輸送コストの管理が重要な課題となりました。一方、ASEAN市場との貿易拡大が、地域内輸送を担う企業にとっては追い風となりました。

スポンサーリンク

2025年の展望

2025年のベトナム港湾・物流業界は、政府のインフラ投資拡大や貿易の成長を背景に、さらなる発展が期待されています。特に、南北高速道路や空港開発の進行により、物流の効率化が一層進むと考えられます。さらに、インフラ整備、Eコマースの拡大、貿易ルートの最適化が成長のカギとなります。一方で、コスト上昇や地政学リスクが課題となり、企業の対応力が問われる年になるでしょう。

港湾セクター

2025年は南北高速道路やロンタン国際空港の開発が進み、港湾と陸上輸送の連携が強化される見込みです。特に**カイメップ・ティバイ港(CM-TV)**では、新たなコンテナターミナルの開発が進み、輸出入の効率化が期待されています。一方で、急増する物流需要に対し、インフラ整備のスピードが追いつくかが課題となります。

物流セクター

Eコマースの成長により、物流のスピードと精度向上が求められています。タンカン・ロジスティクス(TCL)ジェマデプト(GMD)はスマート倉庫や自動仕分けシステムを導入し、物流の効率化を進めています。また、鉄道貨物輸送の強化が検討され、トラック輸送の負担軽減が期待される一方、燃料費や人件費の上昇が業界の課題となるでしょう。

海運セクター

ASEAN諸国との貿易拡大が進む中、輸送ルートの拡張が急務となっています。ハイアン・トランスポート(HAH)は新たな輸送拠点を開拓し、国際物流の強化を進めています。しかし、中東情勢の悪化による海運コストの上昇や、アメリカの対中関税政策の影響が、貿易動向を左右する要因となるでしょう。

レタントン
レタントン

2024年も期待の業界です!!

スポンサーリンク

港湾・物流業界の会社紹介

売上規模から15社をピックアップしています。

SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。

  • Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
  • Growth(成長性)・・・成長株のランキング
  • Momentum(勢い)・・・現在の勢い
  • VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker社名価値成長勢い財務
GMDジェマディプト港湾海運DCBB
PHPハイフォン港BDBB
PVTペトロベトナム運輸ABBA
TMSトランシメックスCBCC
HAHハイアン運輸荷役AABA
VSCベトナムコンテナグループBBCB
PDNドンナイポートCBBB
STG南部運輸倉庫CCDC
CDNダナン港BAFB
DVPディンブ港湾投資開発ABFB
VOSベトナム海運CBBB
CLLカットライ港ACCB
TCLタンカン倉庫・運輸BBBB
GSP国際石油ガス製品運輸ADFC
ILBタンカン・ロンビンICDBBDB
SFIサフィ運輸代理BBBB
VNFビナフレイトCBCC
MAC航海サービスCDCC
レタントン
レタントン

小型株が多いものの優良企業が多い印象です。

2024年の株価推移

2024年の株価推移です。

2024年のベトナム・ロジスティクス業界は、海運・港湾関連の銘柄が大きく上昇し、物流・倉庫系の企業は苦戦する結果となりました。

特に、MAC(航海サービス)、VNF(ビナフレイト)、PHP(ハイフォン港)などの企業は、市場全体(VNINDEX +11.50%)を大きく上回る成長を記録しました。これらの企業は、港湾インフラの拡大、輸出入増加、海運コストの上昇による利益拡大の恩恵を受けたと考えられます。

一方で、TCL(タンカン倉庫・運輸)、STG(南部運輸倉庫)、VSC(ベトナムコンテナグループ)などの物流・倉庫系企業は、市場平均を下回るパフォーマンスとなりました。これは、物流コストの上昇や競争激化、収益性の低下が影響しているとみられます。

レタントン
レタントン

2022年の暴落から立ち直ってきていますね。

ROE、PERのバブルチャート

縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。

データは2024年12月末のものです。

ベトナムのロジスティクス業界には、成長が期待される企業と収益性の改善が必要な企業が混在しています。GMD、TMS、PHPなどは市場からの期待が高く、今後の成長が見込まれる企業です。VOSやCDNは利益をしっかり出しているものの株価が割安で、安定した投資先として魅力的であることが読み取れます。

2024年売上・利益ランキング

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

ベトナムのロジスティクス業界では、GMDやPVTのように売上規模が大きい企業と、DVPやMACのように高い利益率を誇る企業が存在します。一方で、TMSやSTGのように利益率が低めな企業もあり、業態によって収益構造が異なります。

EPS、PER比較

下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

ベトナムのロジスティクス業界では、DVPやPDNはEPSが高くPERが低いため、収益性が高い割安株といえます。一方、TMSやHAHはPERが高く、市場からの成長期待が大きい企業です。

また、GMDやPVTはEPSと配当が安定しており、堅実な成長型の銘柄といえます。全体として、成長期待の高い企業と割安な優良企業が混在しており、投資判断には業績の継続性を見極めることが重要です。

配当利回り

2024年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。

昨年の配当実績÷現在の株価のため、過去の実績利回りではありません。

配当を出した会社が12社です。

Ticker社名配当%
DVPディンブ港湾投資開発9.19
CLLカットライ港7.29
TCLタンカン倉庫・運輸6.66
ILBタンカン・ロンビンICD6.29
CDNダナン港4.12
VNFビナフレイト3.98
GMDジェマディプト港湾海運3.33
PDNドンナイポート3.33
MAC航海サービス1.49
TMSトランシメックス1.11
PVTペトロベトナム運輸1.07
PHPハイフォン港0.96

会社個別の分析

ジェマデプト港湾海運(GMD)

GMDは、ベトナム最大級の港湾運営会社であり、カイメップ・ティバイ港を中心にハイフォン港など国内主要港の運営を手掛ける。政府のインフラ投資拡大により、南北高速道路と港湾の連携強化が進み、貿易量の増加が見込まれる。2024年の貨物取扱量は前年比2桁増を記録しており、引き続き安定した成長が期待される。

ハイフォン港(PHP)

北部最大の港湾で、中国との貿易拠点としての役割が強い。**2024年の輸出入量増加に伴い貨物取扱量が安定成長を続け、政府の港湾設備投資の対象にもなっている。**東南アジア~中国間の貿易が増える中、今後も貨物取扱量の増大とともに安定した収益を確保できると見られる。

ハイアン運輸荷役(HAH)

コンテナ輸送・港湾荷役を手掛ける中堅企業で、024年は海運コストの高騰を追い風に業績が好調に推移。政府の物流網整備に伴い、鉄道輸送との連携や倉庫事業の強化を進めており、内陸物流を含めた総合的な輸送企業へと成長している。

ディンブ港湾投資開発(DVP)

DVPは北部の重要港湾で、2024年は取扱貨物量の増加により業績が堅調に推移。港湾施設の拡張計画が進められており、政府のインフラ投資の恩恵を受ける可能性が高い。安定した利益率を維持しつつ、今後の成長が期待される港湾企業の一つ。

航海サービス(MAC)

特殊海運サービスを提供し、2024年に市場平均を大きく上回る成長を記録。特に港湾支援や船舶管理サービスの需要が高まっており、政府の港湾運営改革とともに業界内での地位を確立している。2025年は、港湾のデジタル化やスマートロジスティクスへの対応を進め、さらなる成長が期待される。

[お知らせ] ベトナム株式投資ガイド2025 発売中

「ベトナム株式投資ガイド2025年」発売!

2025年の黄金株を狙う!

急成長を続けるベトナム市場で投資チャンスを掴むための実践ガイド!2025年の市場動向、成長分野、注目銘柄をデータをもとに詳しく解説。フロンティア市場から新興市場への昇格期待、AI・再生可能エネルギー・5Gなどの成長産業、観光復活によるインフラ需要まで、投資家必見の情報を記載しています。

こちらから購入できます!

まとめ

2024年のベトナムのロジスティクス業界は、港湾・海運企業が成長し、物流・倉庫系企業はコスト上昇の影響で苦戦する展開となりました。政府のインフラ投資や貿易拡大を追い風に、GMDやPHPなどの港湾運営企業、HAHやVOSといった海運関連企業は引き続き成長が期待されます。

しかし、2025年以降は業界全体の成長が続く中でも、すべての企業が利益を上げられるわけではないと考えられます。物流コストの上昇や競争の激化により、成長が見込まれる企業とそうでない企業の差が拡大する可能性があります。港湾インフラの整備が進む中で、政府の投資の恩恵を受ける企業や、高い利益率を維持できる企業を選別することが、今後の投資戦略の鍵となるでしょう。

<関連記事>その他の業界比較はこちらから

コメント

タイトルとURLをコピーしました