今回は、ベトナム水力発電業界の各社を業績や2021年の業績予想などを比較していきたいと思います。
石炭とガスの価格が急激に上昇する現状では、電力コストが石炭とガスの電力よりもはるかに低いため、水力発電会社には利点があります。電力不足を見越して、発電する容量を増やしている会社も出てきています。また、株価も比較的安定しており、配当利回りも高めに設定している企業が多いように思います。
しかし、水力発電の出力は安定しておらず、各地域の水の状況に依存するということに注意が必要です。
水力発電企業の紹介

水力発電は多くの企業が存在しているため、売上規模から11社をピックアップしています。
SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。
- Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
- Growth(成長性)・・・成長株のランキング
- Momentum(勢い)・・・現在の勢い
- VGM(財務)・・・財務評価のランキング
銘柄 | 社名 | 価値 | 成長 | 勢い | 財務 |
---|---|---|---|---|---|
VSH | ヴィンソン・ソンヒン水力発電 | F | B | C | C |
TMP | タックモ水力発電 | B | B | C | B |
CHP | 中部水力発電 | D | B | C | B |
SHP | 南部水力発電 | D | C | B | B |
TBC | タックバー水力発電 | B | C | B | B |
SJD | カンドン水力発電 | B | C | C | B |
SEB | 中部電気開発投資 | D | C | C | C |
S4A | セサン4A水力発電所 | D | C | C | C |
SBA | ソンバ水力発電 | D | C | D | C |
HJS | ナムムー水力発電 | F | C | F | F |
DRL | 第3電力・水力発電 | C | A | B | A |
2020年売上ランキング
下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。
左から時価総額の高い会社順に並べています。

2020年売上トップ・利益額トップは、ともに中部水力発電(CHP)でした。
業界全体として、高い利益率を誇っており、安定性がある業界と思います。
2020年売上トップ
会社名 | 時価総額 | 売上 | 経常利益 | 利益率 |
---|---|---|---|---|
中部水力発電(CHP) | 3,136,586 | 8,305 | 2,784 | 33.5% |
タックバー水力発電(TBC) | 1,930,400 | 5,330 | 1,809 | 33.9% |
タックモ水力発電(TMP) | 3,500,000 | 4,432 | 1,785 | 40.3% |
南部水力発電(SHP) | 2,530,176 | 4,294 | 607 | 14.1% |
ヴィンソン・ソンヒン水力発電(VSH) | 7,063,614 | 3,406 | 1,883 | 55.3% |
カンドン水力発電(SJD) | 1,480,021 | 3,313 | 1,011 | 30.5% |
ソンバ水力発電(SBA) | 1,226,803 | 2,982 | 1,019 | 34.2% |
中部電気開発投資(SEB) | 1,436,799 | 2,601 | 1,128 | 43.4% |
セサン4A水力発電所(S4A) | 1,263,890 | 2,333 | 859 | 36.8% |
ナムムー水力発電(HJS) | 701,397 | 1,890 | 562 | 29.8% |
第3電力・水力発電(DRL) | 628,900 | 968 | 557 | 57.6% |
ROE、PERのバブルチャート
縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。
データは2021年11月時点のものです。

PER10~15、ROE10~20あたりに集中しています。急成長はしないものの、まだ割安な業界ともいえると思います。
石油・ガスが値上がりする中、水力発電業界が発電量をのばしていくことも予想されるため、発電量の推移などをみて投資判断をしていくのも良いと思います。
配当利回りランキング

2020年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。
昨年の配当実績÷現在の株価のため、過去の実績利回りではありません。
配当性向が高い企業が多いようです。利益を株主に還元する姿勢は強い業界のようです。
社名 | 利回り | 配当性向 |
---|---|---|
タックモ水力発電(TMP) | 14.46 | 292% |
カンドン水力発電(SJD) | 9.79 | 99% |
タックバー水力発電(TBC) | 8.22 | 89% |
中部電気開発投資(SEB) | 7.57 | 93% |
第3電力・水力発電(DRL) | 7.55 | 94% |
中部水力発電(CHP) | 7.49 | 86% |
セサン4A水力発電所(S4A) | 6.68 | 96% |
ナムムー水力発電(HJS) | 6.59 | 89% |
ソンバ水力発電(SBA) | 4.91 | 76% |
南部水力発電(SHP) | 1.85 | 73% |
会社個別の分析

SSIのレポートによりますと、南部の水力が安定しており、SJD、TMPは今後も発電量を増やしていくと予想しています。

まとめ
今回は、水力発電の会社について、比較・まとめを行いました。
WEBページをみても、なかなかその戦略というのはわかりずらく、どの会社が良いというのは難しかったのですが、石油価格高騰の中で、水力発電全体として伸びていく可能性は高いと思います。
個別でみても、出来高があまり多くなく、値動きも読めない印象です。配当性向も100%に近く、利益が出たものをそのまま還元してくれる傾向のため、債券的にもって配当をもらう戦略が良いと思います。
それでは
<関連記事>
銀行業界の分析記事です。業績好調な企業が多いです。
証券業界の分析記事です。銀行業界同様に業績好調の企業が多いです。
エネルギー関連産業の分析記事です。原油価格高騰により、株価を上げはじめています。
業界比較のまとめ記事です。
コメント
こんにちは。
COPの動きを見ると、やはり水力発電は中期的なテーマ株の一つになるでしょうね。
それにしてもレタントンさんのサイトは、デザインもスッキリしつつ上品でも美しい。見やすくて分かり易いし、何より分析も客観的で勉強になります。
すごいなぁ・・・(尊敬!)
ありがとうございます!
ベトナムは産油国ですが、国内の需要を賄うことができないので
今後緊急なテーマになるのかなぁと思っています。
ブログはいつまで続けられるかわかりませんが、
自分の備忘録にもなりますし、誰かのお役に立てるのはうれしいですね!