2025年・証券業界の各社比較とおすすめ

業界別

今回はベトナム証券業界の各社を業績や業績予想などを比較していきたいと思います。

2024年のベトナム証券市場は、2023年の低迷から回復し、大きな成長を遂げた年となりました。証券会社の業績も回復し、特にマージンローンや投資事業が好調でした。

2025年にはFTSE Russellの市場格上げが期待され、海外投資家の流入が活発化することで、証券業界全体が恩恵を受けると予想されています。

本記事では、2024年の市場動向を振り返りつつ、2025年の展望を分析していきたいと思います。

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2024年の振り返り

2024年のベトナム証券市場は、前年の低迷からの回復が顕著に見られた年でした。

  • 証券会社の業績回復
    • 2024年の証券業界の総営業利益は前年比+25.5%、税引後利益は 前年比+40.6%
  • 市場の活況
    • 低金利環境の継続や政府の景気刺激策の影響で、市場の流動性が高まった。
    • 取引量が増加し、特にマージンローン(信用取引)の需要が拡大。
  • 海外投資家の動向
    • 2024年は為替リスクなどにより、一部資金流出も見られたが、市場格上げへの期待が高まり、再び資金流入の兆しが見えてきた。
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2025年の展望

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2025年の証券市場では、以下の3つのポイントが特に注目されています。

  1. 市場の成長と流動性の向上
    • 2025年も市場バリュエーションは魅力的な水準にあり、PERの低さが割安感がある。
    • 低金利環境の継続により、投資資金の流入が続くと予想される。
  2. 市場格上げの期待
    • 2025年9月にFTSE Russellの新興市場(Emerging Markets)への格上げが期待
    • 格上げ後、13.6兆VND(約6億ドル)の投資が流入する可能性。
  3. 証券会社の競争激化
    • 銀行系証券会社の成長により、既存の大手証券会社との競争が激化。
    • 手数料引き下げ競争や、マージンローンの金利競争が進む

【新興国市場に昇格による影響は?】

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証券業界の会社紹介

ホーチミン証券取引所(HOSE)に17社、ハノイ証券取引所(HNX)に12社、店頭公開(UPCOM)に11社、計41社が企業が上場しています。

今回は、売上規模から11社をピックアップしています。

SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。

データは2024年12月末時点のものです。

  • Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
  • Growth(成長性)・・・成長株のランキング
  • Momentum(勢い)・・・現在の勢い
  • VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker社名価値成長勢い財務
SSISSI証券CAAA
VCIベトナムキャピタル証券BBBB
HCMホーチミン市証券DBCC
VNDVNダイレクト証券BBBB
MBSMB証券BBBB
VIXVIX証券BBAA
FTSFPT証券CBBB
SHSサイゴンハノイ証券AABA
BSIベトナム投資開発銀行証券BABA
CTSヴィエティンバンク証券CABB
VDSロンベト証券FBDC
レタントン
レタントン

業績回復により財務面が良い会社が増えています。

2024年株価推移

2024年の株価推移です。

2024年のベトナム証券市場では、MBS(+46%)、FTS(+36.92%)、CTS(+27.62%)が市場平均(+12.86%)を大きく上回る成長を遂げました。

一方で、VND(-35.24%)、VIX(-24.22%)、SHS(-30.81%)は大幅に下落し、SSIやHCMは安定した推移をしました。

ROE、PERのバブルチャート

縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。

SSI証券、VND証券、HCM証券などは、安定した成長が期待できる企業であることがわかります。

これらの企業は、売上や利益の規模が大きく、市場での競争力も高いため、市場全体の拡大とともに堅実な成長が見込まれます。特に市場格上げが進めば、海外投資家の資金流入が期待でき、流動性の向上によってさらなる業績の向上が期待されます。

2024年売上・利益ランキング

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

VIX証券やFTS証券のように利益率の高い企業 は、今後の成長余地が大きく、効率的な経営ができている企業と評価できます。

一方で、SSI証券のような売上規模の大きな企業は安定感があり、長期投資向けです。

EPS、PER比較

下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

一般的に、EPSが高く、PERが低い企業は、現在の株価が割安であることを示しており、成長余地が大きいです。

配当利回りランキング

2024年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。

昨年の配当実績÷年末の株価のため、今後の予想利回りではありません。

Ticker社名配当%
MBSMB証券4.36
VNDVNダイレクト証券4.17
SSISSI証券3.18
HCMホーチミン市証券1.78
VCIベトナムキャピタル証券1.62
FTSFPT証券0.86

会社個別の分析

SSI証券

SSI証券は、業界最大級の売上規模を誇り、市場シェアが圧倒的です。

機関投資家向けの取引に強みを持ち、ROEは約12%、PERは約12倍と割安な水準にあります。

低金利環境により信用取引の需要が拡大し、IPOの増加による投資銀行業務の成長も期待されています。

市場格上げ後は海外資金の流入が進み、安定した収益を確保しながら競争力を維持することが見込まれます。

FPT証券(FTS)

FPT証券は、業界内でも特に高い利益率を誇り、経常利益率は60%以上を記録しています。

EPSは1,800VND超、PERは約20倍と市場の成長期待が大きく、投資銀行業務やデリバティブ取引の強化を進めています。

市場格上げによる資金流入の恩恵を受けやすく、手数料収入の増加やデジタル取引の拡大が業績向上を支えると予想されます。

市場全体の成長とともに、収益基盤のさらなる拡大が見込まれます。

VNダイレクト証券(VND)

VNダイレクト証券は、売上規模が業界上位で、安定した成長を続けています。

オンライン取引の拡大と若年層投資家の増加により、取引量の拡大が期待されます。

PERは約15倍と割安で、低コスト運営とテクノロジー活用により収益性の向上が見込まれます。

市場格上げ後は外国投資家の流入が進み、取引高や手数料収入の増加が期待されます。

競争が激化する中、デジタル戦略を活かしてさらなる成長を目指しています。

ホーチミン市証券(HCM)

ホーチミン市証券は、海外投資家向けの取引比率が高く、市場格上げによる資金流入の恩恵を受けやすい企業です。

PERは約15倍、ROEは約8%と安定したバリュエーションを維持し、機関投資家向けサービスやIPO引受業務に強みを持ちます。

市場の流動性向上に伴い、取引高の増加が見込まれ、デリバティブ取引の強化を進めることで、持続的な成長が期待されます。

MB証券(MBS)

MB証券は、銀行系証券会社としての安定した資金基盤を持ち、信用取引の拡大により収益を伸ばしています。

PERは約17倍、ROEは約12%と、収益性と成長性のバランスが取れています。

低金利環境が続き、信用取引の需要が増加することで、さらなる収益向上が期待されます。

MB銀行とのシナジーを活かし、法人顧客の取引拡大を推進しながら、安定した成長を続ける見込みです。

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まとめ

今回は、ベトナムに上場している証券会社について、比較・まとめを行いました。

証券業界は、市場の動向に大きく左右されるため、将来の成長性を見極めるのが難しい分野です。

また、証券会社自身が業績予想を発表することが少なく、情報収集が困難な点も特徴的です。

しかし、ベトナム経済の成長とともに、いずれ株式市場の活況が再び訪れる可能性は高いと考えられます。市場格上げの期待や海外投資家の流入が進めば、証券会社の業績にもプラスの影響を与えるでしょう。

引き続き、業界の動向に注目し、有望な投資機会を見逃さないようアンテナを張り続けていきたいと思います。

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