【ベトナム株】エネルギー業界の各社比較とおすすめ(2024年)

業界別

今回は、2024年度のベトナムエネルギー関連の各社を業績を比較していきたいと思います。

国の成長が著しいベトナムにとって、民間企業や家庭でのエネルギー需要は増えており、この業界は成長産業ともいえると思います。

一方で、原油などは輸入依存度が高く、国際的な原油価格の変動にも、影響される業界ですので、そのあたりを注意しながら、この業界の恩恵を受ける会社や悪影響を受ける銘柄を探っていきたいと思っています。

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2023年度の振り返り

2023年は、石油・ガス業界にとって相場の変動を超えた深い変化の年でした。

業界全体で見られた9%の株価上昇は、原油価格の安定よりも、業界内の動向による影響が大きいことを示しています。特に上流セグメントでは、Block Bメガプロジェクトなどの大型プロジェクトが、E&P活動への投資拡大を牽引しました。

また、再生可能エネルギーへの移行加速というグローバルトレンドの中で、石油・ガス企業も持続可能なエネルギー源への投資を拡大させました。

これは、特に欧州を中心に、石油・ガス企業がエネルギー業界の新たなプレイヤーとしての地位を確立しようとする動きが顕著になったことを示しています。

世界各国の気候変動対策としての炭素排出量削減の目標は、石油・ガス業界に事業モデルの再考を迫っています。カーボンニュートラルへの動きは、新たなビジネスチャンスをもたらすと同時に、特に下流セグメントに大きな挑戦を提起しています。

上流企業の躍進

上流企業、特にPVSやPVDのような企業は、E&P(探鉱・開発・生産)活動のセンチメント改善を背景に、59%と81%の株価上昇を達成しました。

これは、Block Bメガプロジェクトなどの大型プロジェクトが牽引役となった結果です。

これらの企業は、原油価格の安定性とともに、新しい油田の発見や開発プロジェクトの進捗により、投資家からの高い評価を受けました。

Block B-O Monパイプライン(PVE HPより)

中流企業の挑戦

一方、PLXやGASといった中流企業(石油・ガスの精製や加工を行う企業)は、原油価格の下落の影響を受け、苦戦しました。

これらの企業は、石油・ガスの精製や加工を行うため、原油価格の変動に直接影響を受けやすいです。PLXは11%の株価上昇にとどまり、GASは8%の株価下落を経験しました。これは、原油価格の低迷期における利益圧縮の現れと言えるでしょう。

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2024年の展望

2024年の石油・ガス業界は、原油価格の安定性、供給過剰のリスク、そして再生可能エネルギーへの移行という大きなトレンドの中で展開されます。

上流セグメントは、新規探査と開発プロジェクトによって成長の機会を追求する一方で、中流セグメントは効率化とコスト管理によって挑戦に対処する必要があります。下流セグメントは、需要の回復を最大限に活用しつつ、長期的な市場の変化に適応する戦略を模索することが求められます。

上流セグメントの展望

上流セグメント(探鉱・開発・生産活動を行う企業)は、2023年に見られた活性化の流れを引き続き享受する可能性があります。

原油価格が比較的安定していることから、新規探査プロジェクトや既存油田の開発拡大に向けた投資が継続されることが予想されます。

特に、Block Bメガプロジェクトのような大型プロジェクトは、上流セグメントにおける成長の主要な推進力となり得ます。しかし、原油価格の大幅な変動や地政学的リスクは、上流セグメントにとって依然として重要な不確実性要因です。

中流セグメントの展望

中流セグメント(石油・ガスの精製、加工、輸送を行う企業)は、原油価格の変動に直接影響されるため、2024年も挑戦的な一年となる可能性があります。

原油価格が安定またはわずかに下落すると予想される中で、精製マージンの圧縮や輸送コストの増加が中流企業の収益性に影響を与える可能性があります。

ただし、LNG市場の成長や、特にアジア市場へのエネルギー供給の増加は、中流セグメントに新たな機会を提供する可能性もあります。

下流セグメントの展望

下流セグメント(石油製品の販売・マーケティングを行う企業)は、国内外の経済活動の回復に伴い、需要の増加を見込むことができます。

特に、交通燃料や化学製品への需要が回復することで、下流セグメントの企業は収益性の向上を期待できるかもしれません。しかし、環境規制の強化や再生可能エネルギーへの移行加速は、下流セグメントにとって長期的な課題を提起します。

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エネルギー関連企業の紹介

会社紹介

エネルギー関連企業の9社を取り上げたいと思います。

冠にペトロ(PV)とつく会社が多く、これらはペトロベトナム【Vietnam Oil and Gas Group (PVN) 】の関連会社としている企業となります。

TickerName取引所特徴
GASペトロベトナムガスHOSE天然ガス・石油ガス(PLG)供給の最大手企業
PLXペトロリメックスHOSE石油・ガソリン小売の最大手企業、市場シェア50%
BSRビンソン製油石化UPCOMビンソンで石油精製所の運営
POWPVパワーHOSEベトナム第2位の発電会社
PVSPVテクニカルサービス HNX石油関連サービスでトップシェア
PPCファーライ火力発電HOSEハイズオン省で大規模火力発電を運営
PVDPVドリリングHOSEベトナム唯一の石油採掘用のリグリース企業
NT2第2ニョンチャック電力HOSE地方最大規模の発電所を運営、太陽光発電も注力
PVTペトロベトナム運輸HOSE原油輸送の専門会社

Fiin Trade Rank

SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。

  • Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
  • Growth(成長性)・・・成長株のランキング
  • Momentum(勢い)・・・現在の勢い
  • VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker社名価値成長勢い財務
GASペトロベトナムガスCBBB
BSRビンソン製油石化BDBB
PLXペトロリメックスFDBD
POWPVパワーCCBB
PVSPVテクニカルサービスDBBB
PVDペトロベトナム・ドリリングCBBB
NT2ニョンチャック電力CCAB
PVTペトロベトナム運輸ABBA
PPCファーライ火力発電CCDC

株価推移

2023年の株価推移です。

上流工程を担当しているPVS、PVDが株価を伸ばす一方で、GASなどはマイナスのまま終了となっています。

VNインデックス最高値を記録した2022年4月5日からの推移となります。

ROE、PERのバブルチャート

縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。

データは2023年12月末のものです。

指標的にはROEの高いGAS、PVT、BSRなどが割安水準です。

昨年大きくあがったPVD、PVSも、成長力を考えるともう少し上げていく可能性もあると思います。

売上・利益比較

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

EPS・BPS、PER比較

下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

会社ごとの分析記事

ペトロベトナムガス(GAS)

国営エネルギー企業(Petrolimex社)傘下のガス会社で、ベトナム全土でサービスを提供しています。

発電事業については、水力発電と太陽光発電に比重を置いているため、原油高の影響を受けずらい体制が出来ています。2022 年には、Sao Vang および Dai Nguyet 油田のフル稼働により、ガス量は 14.5% 増加しました。LNG参入についても、インフラ構築に向けて投資が進めています。

ペトロリメックス(PLX)

Petrolimex は、ベトナムの石油関連輸入の55%を占め、石油製品市場の55%のシェアで市場をリードしている企業です。

また、国内で2,300を超えるガソリン・スタンドを運営しており、ベトナムではなくてはならない企業の1つです。

PV POWER(POW)

PV POWERは、ベトナム第2の規模を誇る発電会社です。

電力需要が伸びているベトナムでは経済成長と併せて、伸びていくものと思われます。

まとめ

ベトナムエネルギー関連の各社を業績を比較しました。

昨期はコロナからの回復で、業績が良化した企業が多かったものの、ベトナム市場の悪化の煽りを受けて、下げた企業も多かったように思います。

また、ベトナムのエネルギー需要は急拡大をしておりますので、インフラ投資にも注目していきたいと思っています。

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