【ベトナム株】IT&情報通信業界の各社比較とおすすめ(2024年)

業界別

今回は、2024年度のベトナムIT&情報通信業界各社の分析および比較をしていきたいと思います。

2024年はベトナムのITおよび通信業界にとって、技術革新と市場拡大の潮流が一層深まる年となるでしょう。特に、AIとクラウドサービスの進展、そして5Gの商用化が進む中で、これらの技術がどのように業界を変革し、新たなビジネス機会を創出するかが注目されます。

今回は、2024年における各企業の戦略と市場の動向を詳細に分析し、投資家や業界関係者が知っておくべき情報をまとめました。

スポンサーリンク

2023年の振り返り

絶好調の1年間

2023年はベトナムの情報技術(IT)および通信業界にとって多くの変革が見られた一年でした。

業界全体の株価収益率(P/E)は41%という顕著な上昇を見せ、特にAIとクラウドサービスに対する投資が急速に増加しました。

この傾向は、グローバル市場におけるテクノロジー企業の評価高騰と相まって、国内企業にも波及し、例えば、FPT SoftwareはAIとデジタルトランスフォーメーションサービスの売上が全体の43%を占め、特にクラウドサービスからの収益が40%、AIデータ分析が12%を占めるなど、技術革新が収益向上に直結しています。

また、新しい技術の導入は教育分野にも大きな影響を与え、FPT大学は半導体・マイクロエレクトロニクス学部を設立し、2024年からは技術者の本格的な育成を始める予定です。これは、国内外の技術ニーズに応える質の高い人材を供給することを目指しており、特に半導体産業の拡大を見据えた戦略的な動きと言えます。

通信業界においても、FPT Telecomが2024年に3,600ラックの容量を持つ新しいデータセンターの稼働を予定しており、これが通信インフラの整備とデータハンドリング能力の向上に寄与することが期待されています。

加えて、国内市場での5G技術の導入加速は、2024年に向けた重要な成長エンジンの一つです。政府は3,560~4,000 MHz帯の新たな周波数帯をオークションにかける計画を進めており、これにより通信業界のサービス品質とカバレッジが飛躍的に向上する見込みです。

スポンサーリンク

2024年の展望

2024年のベトナムITおよび通信業界は、前年の成果を基にさらなる技術革新と市場拡大を目指しています。具体的な展望として、AI、クラウドサービス、5G技術の導入が中心となり、これらが業界の成長ドライバーとして機能することが予想されます。

AIとクラウドサービスに関しては、2023年に大きな進展を遂げたFPT Softwareをはじめとする企業が、更なる研究開発と市場展開を加速します。FPT Softwareは2024年に、特に日本とAPAC市場で前年比30%以上の売上増加を目指しており、これを支えるためにAIとクラウドベースのサービスを拡充。

この動きは、顧客企業のデジタル変革を支援し、運用効率の向上やコスト削減を実現するためのソリューションとして位置づけられています。

また、教育と専門技術の開発では、FPT大学に設立された新学部が、半導体及びマイクロエレクトロニクス分野の専門技術者を育成し、これが業界全体の技術力向上に寄与することが期待されます。

2024年はこの学部からの最初の卒業生が現場に投入される予定で、特に国内外の半導体関連企業からの人材需要に応える形でその価値が評価されることになります。

通信インフラの面では、新たなデータセンターの稼働が計画されているFPT Telecomが注目されます。このデータセンターは3,600ラックの大容量を誇り、国内外のデータトラフィック増加に対応するための核となる施設です。

この施設の稼働は、ビッグデータの分析、保管、処理能力を大幅に向上させ、FPT Telecomのサービス品質をさらに高めることが期待されています。

さらに、5G技術の商用化が加速する中、2024年には新たな周波数帯のオークションが行われる予定です。これにより、高速で安定した通信サービスが普及し、特にインターネットの使用が高まっている都市部での接続品質が向上します。新技術の導入は、企業や個人ユーザーに新たなサービスを提供し、業界の収益機会を拡大する一因となるでしょう。

これらの展望は、ベトナムのITおよび通信業界が2024年に向けて確実な成長を遂げるための基盤を形成しており、技術革新と市場の拡大が相互に影響を与えながら業界全体を推進していく様子が期待されます。

レタントン
レタントン

2024年も期待の業界です!!

スポンサーリンク

IT&情報通信企業の紹介

売上規模から15社をピックアップしています。

SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。

  • Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
  • Growth(成長性)・・・成長株のランキング
  • Momentum(勢い)・・・現在の勢い
  • VGM(財務)・・・財務評価のランキング
レタントン
レタントン

成長性を見込まれて、勢いがある企業が多い印象です。

Ticker社名価値成長勢い財務
FPTFPT情報通信DABB
FOXFPTテレコムDAFC
VGIベトテル国際投資CBCC
CTRベトテル建設CABB
CMGCMC技術グループDBBB
ELC通信電子技術開発投資FBAB
ADGクレバー・グループCBFC
ICTテレコム・インフォマティックCDDC
POT郵電施設FCFF
ITDティエンフォン技術DDBC
CABベトナムケーブルテレビDBCC
ONE第1通信FCBC
VTCVTC通信CDFD
TTNベトナム技術通信BCBB
ABCVMGメディアDDFF

2023年の株価推移

2023年の株価推移です。

ELC,ABC,CTRといった新興銘柄が大きく上昇しています。

FPT、CMGなどといった大手企業も安定して上昇した1年と言えると思います。

レタントン
レタントン

全体としては強かったものの、マイナスで終了している企業もあり、

企業選別が重要になると思います。

2022年4月5日の暴落時からの推移は以下の通りになります。

レタントン
レタントン

まだ多くの企業がプラスに戻せていないことがわかります。

ROE、PERのバブルチャート

縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。

データは2023年12月末のものです

高成長を誇るFPT、CTR、FOXなどが投資対象の中心になるのかと思います。

個人的にはABCにも注目しています。

2023年売上ランキング

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

FPT、FOXが安定した収益をあげていることがわかります。

その他の企業は、利益率の低さが若干気になります。

レタントン
レタントン

UoM市場のFOX、VGI、CTRは今後HOSE上場も視野に入ってきますので楽しみですね

EPS、PER比較

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

VGIはPER200と先行投資の大きさがネックとなっています。

EPSの安定度からもFPT、FOX、CTRなどが投資対象になってくると思います。

会社個別の分析

FPT情報通信【FPT】

FPTはベトナムを代表する情報技術および通信サービス会社で、特にグローバルITセグメントで顕著な成長を遂げています。2023年の結果に基づき、人件費が競合国に比べて15%~20%低いというコストの利点を生かし、潤沢なキャッシュフローと高いInterest Coverage Ratioを背景に、外貨建て負債を効果的にヘッジしながら安定した財務基盤を維持しています。

Vitte建設【CTR】

CTRは、ベトナムの上場企業で、3G/4Gの普及と2024年の5G商用化の進展によって大きな恩恵を受けることが期待されています。同社はインフラストラクチャリース、通信工事、運用セグメントを通じてこれらの技術進展から利益を得る構えです。

親会社であるViettelが、他のモバイルネットワーク事業者と比べて5G技術における相対的な強みを持っているため、CTRはこの技術革新を利用して市場での競争力をさらに強化することができるでしょう。また、堅実な利益実績により、将来的にはBTS(Base Transceiver Station)の投資に対する負債依存度を低減する計画も進行中です。

まとめ

ベトナムの情報技術(IT)および通信業界は、近年目覚ましい成長を遂げています。2023年には特にAIとクラウドサービスへの投資が加速し、これらの技術が業界全体の発展を牽引しました。2024年に向けても、これらの技術進展に加え、5Gの商用化が業界の次なる大きな話題となっています。

今後の市場では、AIと5Gの導入がさらに進むことで、ベトナムのITおよび通信業界は国際市場での更なる競争力を持つようになると考えられます。企業はこれらの技術を利用して、効率化とコスト削減を進め、新たな市場を開拓することが期待されます。

ベトナムのITおよび通信業界は、技術革新と市場の拡大が相互に影響を与えながら業界全体を推進していくことでしょう。投資家や関係者は、これらの進展を密接に監視し、適切な戦略を立てることが成功への鍵となります。

<関連記事>その他の業界比較はこちらから

コメント

タイトルとURLをコピーしました