今回は、ベトナム肥料業界の各社を業績を比較していきたいと思います。
ベトナムでは農業が盛んということもあり、肥料業界は国内需要と最近では海外への輸出へと、大きな伸びを見せております。
2022年は、世界的にもロシアとウクライナの軍事衝突が発生したことから、世界中で肥料不足が叫ばれており、ベトナム肥料業界にも脚光が当たり、各社好業績を記録しました。
今年は、価格の落ち着きとともに、世界経済の行先も少し暗く、逆風が吹いてくることが予想されます。
2023年の展望
ベトナムの肥料市場は、今後5年間に毎年4.9%のを記録すると、ベトナム肥料協会が発表しています。
現在ベトナムでは、農産物生産面積の増加、生産性向上、有機農業の導入などで、肥料業界の役割は大きくなっている状況です。
肥料系の輸出額は増大している
2022年Q3までのデータで、輸出額は、前年同期比29.5%増の42億米ドルとなっています。
水酸化ナトリウム、黄リン、リン酸二アンモニウム(DAP)などが主な輸出品です。
2023年は昨年の反動があり、業績見通しは悪い
肥料事業はマイナスの成長圧力に直面すると予測しています。
2023 年の肥料価格は、中国やロシアからの供給の増加と輸出の緩みと需要の減少により、下向きの圧力にさらされると考えています。
結局、国内の肥料企業の利益率は、2022 年の高水準に比べて縮小する可能性が高いと考えられています。
肥料業界の会社紹介
肥料業界は多くの企業が存在しているため、売上規模から13社をピックアップしています。
SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。
データは2022年12月末時点のものです。
- Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
- Growth(成長性)・・・成長株のランキング
- Momentum(勢い)・・・現在の勢い
- VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker | 社名 | 価値 | 成長 | 勢い | 財務 |
---|---|---|---|---|---|
DGC | ドゥックザン化学品 | B | A | B | A |
DPM | ペトロベトナム化学肥料 | A | A | B | A |
DCM | ペトロベトナム・カマウ肥料 | A | A | B | A |
DBC | ダバコグループ | C | D | B | B |
CSV | 南部基礎化学品 | A | B | A | A |
BFC | ビンディエン肥料 | B | C | B | B |
LAS | ラムタオ化学肥料 | B | C | B | B |
NFC | ニンビン・リン酸肥料 | B | D | F | D |
PSE | 東南部ペトロベトナム化学肥料 | A | D | D | B |
PSW | 西南部ペトロベトナム化学肥料 | A | C | B | A |
PMB | 北部ぺトロベトナム化学肥料 | A | D | B | B |
基本的には財務が良い会社が多い印象です。
上位3強の安定性は、素晴らしいものがあると思います。
この内容で株価は大きく下落しているので、チャンスあると思います。
参考までに昨年データも残しておきます。
Ticker | 会社名 | 価値 | 成長 | 勢い | 財務 |
---|---|---|---|---|---|
DGC | ドゥックザン化学品 | C | A | A | A |
DPM | ペトロベトナム化学肥料 | A | B | A | A |
DCM | ペトロベトナム・カマウ肥料 | A | B | B | A |
DBC | ダバコグループ | B | D | C | C |
CSV | 南部基礎化学品 | B | A | B | A |
BFC | ビンディエン肥料 | D | C | B | C |
LAS | ラムタオ化学肥料 | D | C | C | C |
SFG | 南部肥料 | C | B | D | C |
PSW | 西南部ペトロベトナム化学肥料 | A | C | B | A |
PCE | ペトロベトナム中部化学肥料 | B | C | B | B |
NFC | ニンビン・リン酸肥料 | C | D | A | B |
PSE | 東南部ペトロベトナム化学肥料 | A | D | C | B |
PMB | 北部ぺトロベトナム化学肥料 | A | C | C | B |
財務状態が良い会社が多く、各社評価は良いようです。
2022年株価推移
2022年の株価推移です。
NFCの1社のみが、プラスで推移しました。
その他の会社は、VN-INDEXを大幅に下回っています。
ROE、PERのバブルチャート
縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。
PERが5以下の企業が増えています。
もともとPERはそれほど高くない業界ですが、現在は、かなり低いです。
参考までに昨年のデータを残しておきます。
2022年売上ランキング
下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。
左から時価総額の高い会社順に並べています。
2022年売上トップ・利益額トップは、ともにペトロベトナム化学肥料(DPM)でした。
上位4社が高い売上をほこり、その他の企業も地域地域で活躍している業界といえると思います。
EPS・BPS、PER比較
下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。
左から時価総額の高い会社順に並べています。
高いEPSを出している企業があり、2023年これが減益になり半額になったとしても、高い水準がキープできるのではないかと思います。
配当利回りランキング
2022年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。
昨年の配当実績÷年末の株価のため、今後の予想利回りではありません。
高い配当を出しているが高い企業が多いようです。利益を株主に還元する姿勢は強い業界のようです。
Ticker | 会社名 | 配当(%) | 配当性向 |
---|---|---|---|
PSE | 東南部ペトロベトナム化学肥料 | 22.12 | 72% |
PSW | 西南部ペトロベトナム化学肥料 | 21.25 | 79% |
PMB | 北部ぺトロベトナム化学肥料 | 15.32 | 50% |
DPM | ペトロベトナム化学肥料 | 11.64 | 32% |
LAS | ラムタオ化学肥料 | 8.00 | 90% |
DCM | ペトロベトナム・カマウ肥料 | 6.79 | 25% |
NFC | ニンビン・リン酸肥料 | 5.44 | 50% |
高配当株狙いの方にもおすすめできる業界ですね。
会社紹介
ドゥックサン化学(DGC)
国内トップクラスの技術を持つ化学薬品メーカーで、リン系の肥料を生産しています。
ペトロベトナム化学肥料(DPM)
国内最大のシェアをもつ窒素系肥料の生産・販売会社です。
ペトロベトナム・カマウ肥料(DCM)
粒上窒素肥料を製造・販売する会社です。
ダバコ(DBC)
家畜用肥料を年間25万トン生産している会社です。
ビンディエン肥料(BFC)
南部エリアでシェア3割を誇る肥料メーカーです。
ラオス、カンボジア、ミャンマーにも輸出をしています。
まとめ
今回は、肥料業界の会社について、比較・まとめを行いました。
2022年4月から始まったベトナム株暴落の影響を受けて、この業界の会社も非常に売られています。
安定した強い会社が多い印象ですので、ここは優良株を仕込むチャンスではないかと思います。
<参考資料>業界比較のまとめ記事です。
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