【ベトナム株】工業用不動産(工業団地)業界の各社比較とおすすめ(2023年)

業界別

今回はベトナム工業用不動産業界(工業団地)の各社を業績を比較していきたいと思います。

脱中国の流れやサプライチェーンの多様化を目的に、様々な企業がベトナムへ進出してきています。

ベトナムは人件費などの面で、工場が進出しやすい状況となっており、大都市圏のみならず、地方都市にも工業団地の建設が進んでいます。

今回は、2023年度の工業団地を建設・運営している各社について、比較をして、投資すべき企業をみていきたいと思います。

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2023年の展望

「方向性が定まらず不透明

2023年の産業用不動産の成長は不透明

2023年もベトナムは他の地域と比較して、労働コスト、賃貸価格、投資コストが低いため、投資家にとって理想的な投資先であることに変わりはないですが、下記のような理由で不透明さを残しています。

  1. 世界経済の見通しに対する投資家の慎重な心理により、FDIの支出は2022年の高いベースから横ばいまたは縮小する見込みであることであることから不透明である。
  2. 工業団地の管理に関する政令35/2022/ND-CPは、工業団地への投資プロセスを簡素化する政府の取り組みを反映しており、工業団地の投資と開発の承認にかかる時間が短縮される見込みであるがその承認のペースが遅く、供給が限定されており、賃料は高騰していきている。2023年の後半には供給不足に陥る可能性があります。
  3. 近隣諸国との競争の激化、特にインドネシアやマレーシアとの競合も増えてきている
工業団地供給量(左:南部 右:北部)
レタントン
レタントン

2023年以降の新規供給はほとんど計画がありません。

ミーちゃん
ミーちゃん

ベトナム全体経済には大きなマイナスですが、

工業団地を運営している会社にはプラスかもです。

FDI金額
レタントン
レタントン

世界的に投資が減っている中、

ベトナムではなく他国を選ぶケースが増えているのは注目ですね♪

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工業用不動産業界の会社紹介

工業用不動産業界は多くの企業が存在しているため、売上規模から12社をピックアップしています。

SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。

データは2022年12月末時点のものです。

  • Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
  • Growth(成長性)・・・成長株のランキング
  • Momentum(勢い)・・・現在の勢い
  • VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Ticker社名価値成長勢い財務
BCMベカメックスIDCCBBB
GVRベトナムゴム工業グループCAAA
VGCビグラセラCBBB
KBCキンバックシティーBBBB
IDCベトナム工業団地BBBB
PHRフオックホアゴムDBBB
SZCソナデジ・チャウドゥックHDCBAB
LHGロンハウ工業団地AABA
TIPティンギア工業団地開発CFBC
D2D第2工業都市開発CDBC
SZBソナデジ・ロンビンBDFC

GVR、PHRはゴム業界の企業ですが、持っている土地を工業団地に変えて、参入してきております。

また、ビングループやホアファットなど大手企業も工業団地を開発することを検討しています。

レタントン
レタントン

LHGは大変良い評価ですが、昨年財務諸表の提出が遅れ

”注意”銘柄になっていますので、ご注意ください。

参考までに昨年データも残しておきます。

Ticker会社名価値成長勢い財務
BCMベカメックスIDCCBBB
GVRベトナムゴム工業グループBABA
VGCビグラセラBBAA
KBCキンバックシティーCBAB
IDCベトナム工業団地都市開発総公社BBAA
PHRフオックホアゴムDBCC
SZCソナデジ・チャウドゥックHDDBAB
LHGロンハウ工業団地AACA
TIPティンギア工業団地開発BFBC
D2D第2工業都市開発BDBB
SZBソナデジ・ロンビンADCB
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2022年の株価推移

2022年の株価推移です。

BCMの1社のみが、プラスで推移しました。

その他の会社は、VN-INDEXを大幅に下回っています。

ROE、PERのバブルチャート

縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。

BCMとGVRは期待先行が強く、高いPERとなっています。

一方で、PER5倍、10倍以下で放置されている工業団地も多くあり、このあたりの企業は成長力もあることから狙い目かと思われます。

参考までに昨年のデータを残しておきます。

2022年売上ランキング

下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

工業団地専業でやっている企業ではBCM、KBC、IDCの3社が大きな売上を持っているものの、その他の企業はそれほど大きな売上を持っていません。

投資にあたっては、このあたりは注意が必要かと思います。

専業以外では、GVR、VGC、PHRなどが、本業との相乗効果を狙いながら、徐々に工業団地を手掛けています。

EPS・BPS、PER比較

下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。

左から時価総額の高い会社順に並べています。

非常に高いEPSを記録している企業が多いのが特徴かと思います。

一旦工業団地に入ると、なかなか入れ替わりというのが少ないため、安定経営ができているものと考えられます。

配当利回りランキング

2022年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。

昨年の配当実績÷現在の株価のため、過去の実績利回りではありません。

Ticker社名利回り(%)配当性向
D2D第2工業都市開発21.98292%
PHRフオックホアゴム10.1548%
LHGロンハウ工業団地8.9049%
IDCベトナム工業団地8.0342%
SZCソナデジ・チャウドゥックHD3.8244%
GVRベトナムゴム工業グループ2.9737%
BCMベカメックスIDC0.8740%

高い配当を出しているが高い企業が多いようです。

利益を株主に還元する姿勢は強い業界のようです。

レタントン
レタントン

高配当株狙いの方にもおすすめできる業界ですね。

企業の紹介

ホアフックゴム(PHR)

PHRは、ビンズン省で5,600ha以上のゴム用地ファンドを工業団地に転換し、ベトナムの需要拡大を取
り込むことを目指しています。2023年は工場団地系の進捗は滞るものの、2026年~2030年までに5つのIPのうち約2,600haが稼働する可能性があります。

昨年の下落で、PER7.5となり、また配当利回りも高いことから、狙い目かと思います。

ベカメックス(BCM)

4,000ha 以上の敷地を持つベトナム最大の工業団地運営を行っています。

ホーチミン近郊のビンズン省でシンガポールとの合弁で大規模な工業団地(VSIP)を展開しています。

これまでの実績から政府との強いパイプを持っており、開発を進めやすくなっているのも利点かと思います。また、日本の東急グループと合弁会社ベカメックス東急を作り、日本の都市開発をうまく取り入れながら、開発を進めています。

今後2年間は大きな開発が予定されてないため、上積みが望めないものの、土地を広大に保有していることから期待はできます。

キンバックシティ(KBC)

北部を拠点に持つキンバックシティは、すぐに賃貸可能な工業用地バンクを有し、22-24年度2,000ha以上の工業用地が追加される予定です。

Samsung ElectronicsやLG Electronics、Foxconn複数のハイテク大手をテナントとして抱えていることで、これらの企業の集積という意味でも、高まる需要を取り込む良い位置にあると考えられます。

ベトナム工業団地都市開発総公社(IDC)

IDCは、ベトナムで最大の工業団地開発業者の1つであり、土地面積は875haを持ちますそのう367.8haの土地(ロンアン、バリアブンタウ、タイビン)がすでにインフラを備え、すぐにリースが可能な状態です。

また、主力のHuu Thanh工業団地は、リース価格を上げてきており、今後3〜5年でIDCの成長の主な原動力となっています。

ロンハウ工業団地(LHG)

LHGは、ホーチミン市から南に行ったロンハウ省で工業団地を運営しています。

ロンアン (ホーチミン市の玄関口) とヒープフック港にある総面積約 370 haの 3 つの工業団地で取引を行っています。さらに2つの工業団地(合計 290 ha)申請中です。

また、ダナンにも展開を始め、高い収益性を持っています。

まとめ

今回は、工業不動産業界の会社について、比較・まとめを行いました。

この業界は、現在も安定しており、かつ成長力もある業界かと思います。

リスクとしては、工業団地の認可に伴う手続きが滞ることにより、計画通りに団地建設がすすまないことが挙げられます。

各社特徴がいろいろ異なりますので、調べていくと面白い業界のように思いました。

参考資料>業界比較のまとめ記事です。

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