今回はベトナム最大の鉄鋼会社であるホアファットグループ(ティッカー:HPG)をご紹介します。
急成長を遂げている会社ですが、世界の鉄鋼会社で15位の売上高になるなど、ベトナム経済界でも大きな存在となっております。
先行投資もしっかり行っており、今後も成長が見込める会社です。
しかしながら、2022年、23年度はベトナム国内および世界的な鉄鋼需要の減少から、大幅な減益となっています。
2024年には新工場が完成する予定であり、ここから売上の上昇が期待されています。
会社概要
概要
ホアファットグループ(HPG)は、ベトナムを代表する多部門産業グループであり、特に鉄鋼業界で圧倒的な存在感を誇ります。
1992年に建築設備および機械部品の取引からスタートし、次第に家具、鋼管、鋼、冷凍工学、不動産など多岐にわたる事業を展開してきました。
主力事業である鉄鋼生産は、グループの総収益と利益の80%以上を占めており、建設用鋼材と鋼管においては国内最大の生産者として、32.5%および31.7%の市場シェアを有しています。
また、オフィス家具市場でもトップシェアを誇り、多様な事業ポートフォリオを持つことが、HPGの競争力の源泉となっています。
今後は、Dung Quat 2製鉄所の稼働開始により、さらなる生産能力の拡大が見込まれており、国内外での市場シェアをさらに拡大し、持続的な成長が期待されます。
ベトナム最大の鉄鋼会社です。
鉄鋼需要が高く、投資も引き続き行っている成長企業です。
事業戦略・マーケット
北部ハイズオン省、南中部クアンガイ省ズンクアット経済区内で大規模な鉄鋼生産拠点を展開しています。ハイズオン省では自社専用の発電所、クアンガイ省の生産拠点内に大型船の寄港が可能な深水港をそれぞれ保有しています。
今後は、めっき鋼板事業への投資を強化するとともに、クアンガイ省のズンクアット鉄鋼生産コンプレックス案件(第2期)は年産能力560万t、投資総額85兆VNDで、2024年初めに稼働を開始予定。また、同エリア内で、火力発電所を建設する計画があります。
農業事業では2022年までに、飼料工場(年産能力60万t)をフル稼働させる計画です。
(アイザワ証券、今井アナリストの企業訪問記 (1)「ホアファットグループ、ズンクァット鉄鋼コンプレックス」)
東南アジア首位、世界15位の鉄鋼会社へ
【ハノイ=大西智也】ベトナム鉄鋼大手ホアファット・グループが粗鋼生産規模で東南アジア最大手の地位を固める。今春に台湾系でJFEスチールも出資するフォルモサ・ハティン・スチール(FHS、ベトナム)を抜き東南アで首位に浮上した。約4000億円を投じる高炉の新設でさらなる増産体制を敷く。
中国に頼らず鉄鋼製品の母材を国内でほぼ自給できる体制を整える。「ベトナムでは鉄鋼需要は引き続き根強い。我々はこの投資に自信がある」。チャン・ディン・ロン会長は中部クアンガイ省で予定する高炉新設の大規模プロジェクトへの意気込みを強調した。
Nkkei新聞記事より
公式ホームページ
ホアファットグループ社の財務分析
2024年8月更新
データはSSI証券から取得しています♪
収益
2023年の売上は120,355億ドン、経常利益は6,800億ドンとなりました。(利益率5.7%)
2024年の売上は133,319億ドン、経常利益は12,752億ドンの計画です。(利益率9.6%)
前期と比較して、売上:10.8% 経常利益:87.5%の成長率です。
2021年にピークを迎えた後、外部環境や市場調整の影響を受けたが、2023年以降は回復基調にあり、2025年にかけて再び成長軌道に乗ると予測されています。
売上高と利益の両方が増加傾向にある一方で、利益率の改善も見られるため、今後の業績に対する期待が持てます。
逆襲に期待したいところです。
2021年越えするのが待ち遠しいです。
EPSおよびBPSの推移は下記のようになっています。
こちらからも2024年以降の継続的な成長が読み取れます。
自己資本比率
自己資本比率は、54.8%です。
ホアファットグループが持続的に資産を増やしながら、負債の増加を適切に管理しています。
自己資本比率が50%以上を維持していることから、財務の健全性が高いことが確認できます。
このような財務基盤の強さは、HPGが将来の成長に向けてリスクを抑えながら事業を拡大する能力を持っていることを示唆しています。
資本効率
ROEは、6.9% ROAは、3.8%です。
資産と自己資本を増やし続ける一方で、2021年をピークにROEとROAが低下していることがわかります。これは、成長期における高収益性を経て、現在は資産の活用と効率化に注力していることを示唆しています。
今後の課題は、増加した資産をいかに効果的に活用し、ROEとROAを改善するかにかかっていると言えます。
もう少し成長率がほしいところです。
キャッシュフロー
HPGが2021年に非常に積極的な投資と資金調達を行い、成長を加速させた後、2022年に一時的な調整を行ったことが見て取れます。
2023年にはキャッシュフローの安定化が見られ、健全な財務状態を維持しています。
配当利回り
配当金は以下の通りです。
チャート
現在の株価は下記のようになっています。(FinAnt提供)
今後の見通し
Dung Quat 2製鉄所の稼働開始と生産能力の拡大
2024年から2025年にかけて、HPGはDung Quat 2製鉄所の稼働を開始します。
この新しい製鉄所の稼働により、HRC(熱間圧延コイル)の生産量が大幅に増加し、2025年には前年比66%増の520万トンに達する見込みです。これにより、HPGは国内外での市場シェアを拡大し、さらなる収益増加を目指します。
特に、中東やアフリカ、北米市場への輸出拡大が計画されており、HPGの成長戦略の中心となります。
市場多様化とリスク管理の強化
HPGは欧州市場への依存度を低減し、新興市場でのシェア拡大に注力します。
これには、中東やアフリカ、北米市場への輸出増加が含まれます。欧州市場では、セーフガード措置により輸出が制限される可能性が高いため、他の市場へのシフトが重要な戦略となります。
また、国内市場でも建設用鋼材やHRCの需要が堅調に推移する見込みであり、これがHPGの安定した収益を支える要因となります。
コスト管理と競争力強化による収益性の向上
2024年から2025年にかけて、鉄鋼生産におけるコスト管理をさらに強化し、収益性の向上を図ります。特に、鉄鉱石や石炭などの原材料価格の動向を注視しながら、効率的な生産プロセスを維持することで、利益率を高める計画です。
また、Dung Quat 2製鉄所の稼働に伴い、規模の経済を活かしたコスト削減が期待され、これがHPGの競争力を一層強化します。2025年には、売上高163,211億VND、純利益15,704億VNDを達成する見込みです。
【ベトナムが味わえる♪美味しいベトナムコーヒーをどうぞ!】
まとめ・株価予想(独断)
ベトナム国内の鉄鋼需要など成長性や企業としての堅実性からも、今後も順調に伸びていくものと思われます。
最悪期は抜けだしたという判断ですが、まだ上値が重い展開がつづくと思います。
理論株価は28,789ドンと現行の株価からみて、買いずらい状況ですが、鉄鋼需要および鉄鋼価格の回復により、2024年以降に期待してみたい銘柄かと思います。
<お勧め記事>
コメント