今回はベトナム最大の鉄鋼会社であるホアファットグループについて、2021年度決算を見て、加筆していきます。
急成長を遂げている会社ですが、世界の鉄鋼会社で15位の売上高になるなど、ベトナム経済界でも大きな存在となっております。先行投資もしっかり行っており、今後も成長が見込める会社です。
しかしながら、2022年、23年度は業績が横這いの予想とされており、このあたりの懸念が株価上昇の足かせとなっているようです。
2024年には新工場が完成する予定であり、ここから売上の上昇が期待されています。
会社概要

概要
Hoa Phat Group Joint Stock Company(HPG)は、ベトナムの多部門産業グループです。
1992年8月に建築設備および機械部品の取引、家具(1995)、鋼管(1996)、鋼(2000)、冷凍工学(2001)、および不動産(2001)事業を開始しました。
2007年、ホアファットグループとなり、親会社として機能する集約化し、傘下に各種事業会社に移行しました。
ホアファットグループは、建設用鋼、鋼管、被覆鋼板、家具、冷凍工学、建設機械、農業、不動産を主な事業としています。
鉄鋼生産は、グループの総収益と利益の80%以上を占めるコアビジネスです。
ベトナムで最大の建築用鋼および鋼管の生産者であり、市場シェアは32.5%、31.7%です。
また、ベトナムのオフィス家具市場シェアで主導的な地位を占めています。
HPGは、2007年からホーチミン証券取引所(HOSE)に上場および取引されています。

ベトナム最大の鉄鋼会社です。

鉄鋼需要が高く、投資も引き続き行っている成長企業です。
事業戦略・マーケット
北部ハイズオン省、南中部クアンガイ省ズンクアット経済区内で大規模な鉄鋼生産拠点を展開しています。ハイズオン省では自社専用の発電所、クアンガイ省の生産拠点内に大型船の寄港が可能な深水港をそれぞれ保有しています。
今後は、めっき鋼板事業への投資を強化するとともに、クアンガイ省のズンクアット鉄鋼生産コンプレックス案件(第2期)は年産能力560万t、投資総額85兆VNDで、2024年初めに稼働を開始予定。また、同エリア内で、火力発電所を建設する計画があります。
農業事業では2022年までに、飼料工場(年産能力60万t)をフル稼働させる計画です。

(アイザワ証券、今井アナリストの企業訪問記 (1)「ホアファットグループ、ズンクァット鉄鋼コンプレックス」)
東南アジア首位、世界15位の鉄鋼会社へ

【ハノイ=大西智也】ベトナム鉄鋼大手ホアファット・グループが粗鋼生産規模で東南アジア最大手の地位を固める。今春に台湾系でJFEスチールも出資するフォルモサ・ハティン・スチール(FHS、ベトナム)を抜き東南アで首位に浮上した。約4000億円を投じる高炉の新設でさらなる増産体制を敷く。
中国に頼らず鉄鋼製品の母材を国内でほぼ自給できる体制を整える。「ベトナムでは鉄鋼需要は引き続き根強い。我々はこの投資に自信がある」。チャン・ディン・ロン会長は中部クアンガイ省で予定する高炉新設の大規模プロジェクトへの意気込みを強調した。
Nkkei新聞記事より
公式ホームページ
ホアファットグループ社の財務分析(2021年決算)
2022年2月更新

データはSSI証券から取得しています♪
収益
2021年の売上は1,508,654億ドン、経常利益は370,568億ドンです。(利益率 24.6%)
2022年の売上は1,504,500億ドン、経常利益は366,000億ドンの計画です。(利益率 24.3%)
前期と比較して、売上:-0.3% 経常利益:-1.2%の成長率です。


2021年の伸びが素晴らしかっただけに、今年は現状維持を目指すようです。

鉄鋼価格の下落もあり厳しい状態のようですね
資産価値
1株当たり純資産は、前期39,838ドンです。

綺麗な右肩上がりですね♪

収益性・成長性
1株当たり純利益は、前期5,798ドン
今期は、5,726ドンになる計画です。(上昇率:-1.2%)

キャッシュフロー
営業キャッシュフローがプラスです。
投資キャッシュフローがきっちりされており、回収時期にはいってきています。

配当利回り
2020年から配当を500ドン行っています。
配当性向も低く、今後は安定的に配当が入ると思われます。

チャート
<1年日足チャート>
12月より下落トレンドにはいっています。
安いところをしっかりと狙っていきたいところです。

<5年週足チャート>
大きく上昇トレンドにのっていますので、問題ないと思います。

今後の見通し
鉄鋼はベトナムの成長に不可欠なものであり、今後も高い成長が期待できます。
ベトナムをけん引していく企業の一つとして、今後も成長していくと予想しています。
ただ、2022年に向けて販売予想が思ったよりもあがっておらず、成長の鈍化も懸念事項として記憶しておく必要があると思います。
(10億ドン) | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
純売上高 | 55,836 | 63,658 | 90,119 | 143,440 | 147,499 |
伸び率(前年比) | 20.96% | 14.01% | 41.57% | 59.17% | 2.83% |
粗利益 | 11,671 | 11,185 | 18,905 | 36,464 | 34,768 |
粗利益率 | 20.90% | 17.57% | 20.98% | 25.42% | 23.57% |
税引前利益 | 10,071 | 9,097 | 15,355 | 32,223 | 30,517 |
純利益 | 8,601 | 7,578 | 13,506 | 29,484 | 27,923 |
伸び率(前年比) | 7.30% | -11.90% | 78.20% | 118.30% | -5.30% |
<販売量>
販売量(トン) | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
建設用鋼 | 2,377,788 | 2,775,066 | 3,400,404 | 3,846,310 | 4,488,404 |
鋼ビレット | 220,000 | 1,768,227 | 1,100,000 | 411,596 | |
鋼管 | 653,900 | 750,800 | 821,840 | 879,369 | 949,718 |
HRC | 686,433 | 2,800,000 | 3,400,000 |
新事業
HPGは、オーストラリアのローパーバレー鉄鉱石鉱山を買収すると発表しました。
推定埋蔵量は3億2000万トン、年間採掘能力は400万トンで、現在のHPGのニーズの30%以上に相当します。同社はこの新鉱山からの鉄鉱石が2022年の初めから採掘されると予想し、生産と輸送の総コストは110〜120米ドル/トンであり、現在の世界価格である約180米ドル/トンよりもはるかに低い。
同社はまた、近い将来、自給自足能力を50%に引き上げるために、オーストラリアの他の鉄鉱石鉱山を買収することを検討しています。
Dung Quat Complex 2

2022年、23年は低成長率となりますが。2024年の(Operational Area 2)から2桁の成長に戻ると計画しています。コンプレックス2(総生産能力560万トン)は36ヶ月の建設期間です。HPGは、2024年から粗鋼生産能力を現在の66%増の1460万トン/年に増やすと見込んでいます。
まとめ・株価予想(独断)
ベトナム国内の鉄鋼需要など成長性や企業としての堅実性からも、今後も順調に伸びていくものと思われます。
2022年、2023年の成長率が物足りなくなる可能性はありますが、2024年に 高炉の新設を進めていることから、長期的にみて安定と思います。
理論株価は13万ドンと現在の株価の約3倍の位置を占めておりますが、世界的な鉄鋼会社のPERが7~9倍となっていることからも、そこまではいかないものと思われます。

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