【ベトナム株】ビナミルク(VNM)の今後の見通し

ベトナム生活

2021年の年初から順調に上昇しているベトナム株式市場ですが、優良企業であるビナミルク(Vinamilk)は、1月中旬を最後に下落トレンドに向かっており、1月から約28%の下落をしております。

5月には、時価総額は191兆8,580億ドンで、ホアファットグループ(ティッカー:HPG)を下回り、証券取引所の時価総額リストで5位にまで落ちる結果となります。

今回は、下落の要因と、今後の見通しについて考えていきたいと思います。 

<ビナミルク1年チャート>

2021年5月15日現在の1年chart

事業内容

ビナミルクは、酪農および乳製品生産を主事業とするベトナム乳業メーカー最大手企業です。

1976年の創業以来、乳製品を中心に、44年間信頼あるブランドとして、ベトナムで認知されています。

国内外へ安全・安心な製品供給を通じて、強固な事業基盤を確立しています。

商品群

商品群は、牛乳、ヨーグルト、コンデンスミルク、チーズ、ジュース、アイスクリームなど、200種類以上の幅広い商品を整えており、ベトナム人にとって必要不可欠な会社として運営されています。

Vinamilk 2020年度決算発表資料より

ビジネスモデル

原料調達の海外への依存度を低下させ、自社調達を強化するため、直営牧場の設立に注力しており、現在、全国に12カ所の直営牧場を有しており、3万頭の乳用牛を飼養している。そのた、6600を超える農場(10万頭の乳用牛)と提携しており、長期的に安定した供給を目指しています。

製品は、全国の小売店、量販店、コンビニエンスストア、直売店などで販売しており、End to Endのバリューチェーンを確立しており、この会社の強みになっています。

収益に占める輸出の割合は2割になっているが、まだまだ海外での認知度が高くない状態です。カンボジアやラオスなど近隣諸国への輸出拡大を目指しています。

Vinamilk 2020年度決算発表資料より

提携、M&Aなど

モックチャウミルク(Mộc Châu Milk)

シェア拡大および、競合他社への対応を目的に、北部最大級の乳牛牧場を誇るモックチャウミルクを買収防衛しています。そのため、2019年12月にGTNフードの保有利率を75%に引き上げ、経営権を掌握しています。

モックチャウミルクは、乳牛2000頭を保有しており、提携先は合わせて23,000頭の乳牛を確保している。2020年12月には、未上場公開株式市場(UPCoM)に店頭公開をしました。

ビナミルクグループは、1,000億ドン以上の配当金を受け取るところです-写真2。
VietnamBizより

双日

ビナミルクは、食肉業界への進出を通じて事業の多角化をはかるため、双日との合弁企業を設立しました。まずは、日本産の牛肉を調達し、ベトナムでの販売を増やすとのことですが、将来的にはベトナムで育てられた肉用牛を販売する計画を立てています。

ベトナムの乳製品最大手ベトナム・デイリー・プロダクツ(ビナミルク)グループと双日は牛肉製品の加工・販売を目的にした合弁会社を設立することで合意した。ビナミルクはこれまで乳製品の製造・販売が中心だったが、双日との合弁を通じて事業の多角化につなげる。

4月にも首都ハノイ市に設立する新会社には、ビナミルクグループが51%、残りを双日が出資する。まず新会社が日本産の牛肉を調達し、ベトナムの大手スーパーや外食チェーンなどに供給する。

ビナミルクが持つベトナム国内でのブランドや販売網と双日の畜産製品の販売ノウハウを融合し、国内の牛肉市場を開拓する。

日経新聞より

乳製品市場が飽和状態になることが予想され、またベトナムの食肉用の牛肉需要が高まっていることから、ビナミルクにとって長期的な成長事業として期待できます。

競合

国内では2番手であるTHミルク(未上場)が非常に強く、ビナミルクにとっては脅威となっています。シェアなどは公式には公表されておりませんので、わかりません。スーパーなどでの販売エリアからすると、ほぼ互角ともいえるスペースがあります。

販売競争激化による価格抑制および販促費が、ビナミルクにとって大きな足枷になっています。

TH ミルク Nhan CEO

ビナミルクの財務分析

PL

毎年安定した売上と高い利益率を誇っています。生活必需品ということもあり、コロナ禍でも大きな業績修正なく、2020年も収益を維持したと言えます。2021年は、売上微増の減益として計画をしています。

成長率

高い成長率を誇ってきましたが、ここ数年成長率の鈍化が目立ってきています。市場の飽和とともに、競合会社も増えてきていることから、激しいシェア争いが行われているものと思います。

EPSベースでも、右肩下がりとなっており、事業のテコ入れが必要になってきています。

資本効率

一時期の勢いはないものの、ROEは高い数値を維持しています。PERも20以下となっており、割高感もないものと思われます。

キャッシュフロー

本業から安定したキャッシュフローがあり、キャッシュフローの管理はうまくいっているものと思われます。財務基盤の安定感は、この会社の1つの魅力かと思います。

配当利回り

配当金は右肩下がりということで、毎年減少をしています。

2021年の見通し

下記の点から、保守的な収益予想としており、市場評価としては下げに転じています。

原料価格急騰による利益圧迫

ビナミルクは、2021年に投入粉乳材料の価格が前例のないほど上昇したという状況に直面しています。

粉ミルクの価格だけでなく砂糖の価格も2020年から急激に上昇し、ビナミルクの第1四半期の粗利益率は2020年の第1四半期と比較して3.1ポイント減少して43.6%になりました。

ビナミルクは、酪農農家と長期契約を結ぶなどして、価格の維持に努めているということですが、原価上昇は避けられない状態です。

全乳粉の価格推移
脱脂粉乳の価格推移

業界内での競争激化、業界の成長率鈍化

THミルクおよび外資企業の参入により、競争が激化しているため、原材料高騰を販売価格にどのように反映していくかという点で困難があります。低価格帯の商品は国内サプライヤー、高価格帯のプレミアム商品は、外資企業のサプライヤーがあり、うまくブランド力を使いながら、活路を見つけていく必要があると思います。

ファンドによる売却(低成長率に嫌気)

ビナミルク自体の成長力が、他の会社に比べて、落ちているという判断からファンドによる売却が加速しています。

Arisaig Asia Consumer Fund Limited、Matthews Pacific Tiger Fund、Stichting Depositary APG Emerging Markets Equity Pool、The Genesis Emerging Markets Investmentなどのファンドが比率を減らしたと発表しています。

ファンドによる売却・ベトナムドンベース(Vietnambizより)

まとめ

ビナミルクがおかれている環境は決して楽ではないものの、安定した事業基盤をもっており、大きく崩れることはないものと思われます。現在の下落は、長期投資家にとってはチャンスかと思いますので、業績の変化を見ながら、投資をしていくことが良いかと思います。

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