今回は、ベトナム最大のガス田開発会社ペトロベトナムガス(ティッカー:GAS)をご紹介いたします。
ベトナムのエネルギー戦略の最大の受益者である会社であり、現在のエネルギー資源高騰による恩恵を大きく受けて成長が期待されています。
会社概要
概要

PetroVietnam Gas Joint Stock Corporation(GAS)は、1990年に設立されました。
石油・ガス分野で国内最大手、ヘトロベトナムグループ(PVN)の子会社で、ベトナム領土・領海内におけるガス田の開発が優先的に認められています。また、ベトナムのLPG市場シェアの70%以上を占め、LPG供給において主導的な地位を維持しています。
この会社は、ガス田でのガス収集システム、輸送と流通のためのパイプライン、貯蔵システムの3つ備えたガス処理プラントを保有し、収集、輸入、輸送、保管、処理の一環した体制を持つ、完全なガスインフラストラクチャを備えている唯一の企業です。
GASの総容量は、年間450,000〜500,000トン(LPG)、70,000トンの天然ガスです。
GASは、2012年からホーチミン証券取引所(HOSE)に上場しています。

ベトナムエネルギー企業ペトロベトナムグループのトップ子会社です。

エネルギー価格高騰に伴い、利益率が改善していきています。
売上構成比率
売上の51%はDry GAS,続いて、LPGが34%となっています。

事業戦略・マーケット
需要
一般的に、ベトナムだけでなく世界のガス消費量は増加しているます。年間平均2.5%の世界成長を伴う経済成長をしていますが、ベトナムやアジアでは、成長率は年間6%以上の成長をつづけています。 EIAによると、天然ガスの供給 また、2040年まで年間2%で着実に成長します。
ガス供給とパイプラインシステム
Nam Con Son からの供給が60%を占めています。現在、ベトナムの石油とガスの可能性が高い堆積盆地は主にベトナム南部の大陸棚に集中しています。したがって、ガスの収集と輸送は主に南部地域に集中しています。


Sao Vang-DaiNguyet
新型コロナウィルスにもかかわらず、経営陣は Sao Vang-DaiNguyet プロジェクトの進捗を軌道に乗せた。Sao Vang の抽出は2020年10月からであり、11 月と 12 月に最大 100 百万立方メートルの量になると予想されている。

LNGターミナル建設
GAS は、LNG Thi Vai(2022 年第 2 四半期に操業開始予定)の他に、LNG Son My(360 万トンの生産量)、LNG Long An(210〜260 万トンの生産量)、LNG HaiPhong(100 万から 300 万トンの生産量)などのプロジェクトの計画と準備も積極的に行っている。
公式ホームページ
ペトロベトナム社の財務分析
2023年7月現在

データはSSI証券から取得しています♪
収益
2022年の売上は100,724億ドン、経常利益は14,798億ドンとなりました。(利益率14.7%)
2023年の売上は76,441億ドン、経常利益は9,809億ドンの計画です。(利益率12.8%)
前期と比較して、売上:-24.1% 経常利益:-33.7%の成長率です。


毎年そうですが、利益計画は低めな感じがします。
予想EPSは、5,125VNDになります。

自己資本比率
自己資本比率は、74.0%です。

資本効率
ROEは、26.7% ROAは、18.3%です。

キャッシュフロー
営業キャッシュフローが常にプラスになっており、安定しております。
投資や配当にも力をいれており、健全なキャッシュフローになっているようです。

配当利回り
配当は3000ドン~4000ドン出ており、利回りは3.5%~5%で推移しています。
2022年は3,000ドンで、利回り約2.9%でした。

チャート
現在の株価は下記のようになっています。(FinAnt提供)
【ベトナムが味わえる♪美味しいカシューナッツをどうぞ!】
今後の見通し
SSI証券の見通しは下記の内容です。
- 現金配当率: 2022年の現金配当率は株価当たり6%で承認されました。
- ボーナス株の発行: 株主総会は発行済株式の20%に相当する3億8,280万株のボーナス株の発行計画を承認しました。この発行は2023年第3四半期から第4四半期初めにかけて実施される予定です。
- LNG Thi Vai受入基地: LNG Thi Vai受入基地は容量100万トンで、施設建設は完了しています。2023年7月にはShellの容量100万トンのLNG船を受け入れる可能性があります。この受入基地は最大100,000 DWTの船舶を受け入れることができ、フル稼働時には年間14億m3のガス供給が可能です。輸入ガスはまず工業系企業に供給され、その後発電所に供給されます。現在のLNG価格は国内ガスと比較して競争力があります。
- LNG受入基地の拡張計画: GASは将来的にThi Vai受入基地の容量を3倍の300万トンに増やす可能性調査を産業貿易省に提出しました。この拡張により、LNGは乾性ガス売上のさらに30%を貢献すると予想されています。
- LNG Son My受入基地: GASは米国のAESコーポレーションと合弁で、LNG Son My受入基地の建設を進めています。第1段階の容量は300万トンで、2026年に完成予定です。次の段階では600~900万トンに拡張される予定です。
- ブロックBプロジェクト: GASはブロックBのガスパイプライン建設に51%出資しています。パイプラインの長さは海上部分で295km、陸上部分で102kmです。GASの総投資額は13億ドルです。パイプラインプロジェクトに対するEPC入札は5月15日に終了し、結果は約60~65日以内に発表される予定です。ブロックBは2023年6月に最終投資決定(FID)が承認され、2026年頃に最初のガス開発が可能になる見込みです。
- 子会社からの資金引き出し: GASはPVパイプの株式の99.9%を売却する計画を維持しています。子会社の残余投資額は2023年3月末時点で9,030億ドンです。計画が成功すれば、GASは2023年にこの取引から多額の利益を計上することはないと予想しています。

LNGの動向には注目したいですね。
まとめ・株価予想(独断)
エネルギー業界は、コロナ初期の原油安で大幅に利益を減らしましたが、その当時でも投資を止めずにプロジェクトを進めてきたため、今後数年間続く、原油高・インフレの恩恵を受ける可能性は十分に高いと考えられます。
原油価格と業績が連動する会社なので、そのあたりに注意しながら買っていくのは、良いかと思っています。
PERの過去5年平均は18.2で、予想EPSから見た適正株価は93,024VNDになります。


原油価格はどこまでいきますかね。
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