今回は、ベトナム不動産業界(住宅)の各社を業績を比較していきたいと思います。
2015年から外国人にも不動産所有が可能になり、そこから倍々ゲームで一気に膨らんだ市場ですが、2022年に急ブレーキとなっています。
バブル警戒からの銀行の貸し出し引き締めや政府許認可の遅れなどで、不動産業者が開発できない状態になっており、さらに世界的な金利上昇の煽りを受けて、資金繰りが一気に悪化しました。
2023年の住宅業界の展望について、今回見ていきたいと思います!
ベトナム不動産業界の現状
業界全体に「厳しい冬がやってくる」
土地改良法の改正を控え、プロジェクトの承認が遅れ
2022年の販売量は、住宅用不動産の資金調達規制が厳しくなったため、ホーチミンとハノイの両方で前年比で40%という大幅な減少が見られました。
2023年も引き続き、各ディベロッパーの開発計画によると、この流れが続くものと考えられています。
また、住宅ローン金利の上昇も購入者心理からして、購入を見送る結果となる可能性が高く、需要・供給とも弱い状態が続く。
販売計画は数年かけて行われるため、2022年の減少はあらかじめ想定されたものでした。
今後の建築計画がどのように変化していくか見ていきたいですね
金融環境悪化による短期流動性が課題
不動産開発業者の資金源は、銀行による融資調達と社債発行が中心あったが、銀行融資枠の縮小により社債発行額が増えており、現在の金利上昇などで、社債不履行による倒産が最大のリスクをもたらしています。
ノバランド(NVL)の社債残高が2023年満期になります。
これらをうまく乗り切れるかですね。
不動産業界で財務状態の良い会社は増えている。
業界全体として下落しており、健全な財務構造と強力なキャッシュ フローを備えた会社にとってはチャンスとも言えます。
ビンホームズ(VHM)、ナムロン(NLG)、KDHなどは、計画通り進めているようです。
不動産業界の会社紹介
不動産業界は多くの企業が存在しているため、売上規模から15社をピックアップしています。
SSI証券が利用しているFiinTrade Rank という数値で会社の状態を大まかに把握できると思います。
- Value(価値、割安度)・・・Value株のランキング
- Growth(成長性)・・・成長株のランキング
- Momentum(勢い)・・・現在の勢い
- VGM(財務)・・・財務評価のランキング
Tiker | 社名 | 価値 | 成長 | 勢い | 財務 |
---|---|---|---|---|---|
VHM | ビンホームズ | B | B | A | A |
NVL | NOVALAND | C | B | B | B |
KDH | カンディエン不動産 | C | C | A | B |
NLG | ナムロン投資 | C | C | A | B |
PDR | ファットダット不動産 | B | A | B | A |
DIG | DIC不動産 | D | A | B | B |
DXG | ダットサイン | B | C | B | B |
HDG | ハド不動産 | B | A | B | A |
SJS | ソンダ都市投資開発 | D | C | D | D |
CRE | 世紀不動産 | F | C | C | D |
CEO | CEOグループ | D | B | A | B |
ITA | タンタオ不動産 | C | C | B | B |
AGG | アンザー不動産投資開発 | C | C | C | C |
HDC | バリア・ブンタウ住宅開発 | F | B | B | B |
SCR | サコムリアル不動産 | C | B | A | B |
昨年、相場を賑わあせたノバランドなども財務はそれほど悪化してないようです。
2022年の株価推移
2022年の株価推移です。
さすがに下げすぎの印象はありましたが、それだけに不動産業界への不信感が広がった結果ともいえます。
結構損失喰らった方いらっしゃいそうですね、汗
ROE、PERのバブルチャート
縦軸がPER・横軸がROEとなります。円の大きさが時価総額となります。
データは2022年12月末時点のものです。
業界トップのビンホームズ(VHM)がダントツで強い市場です。
PERは10以下の会社が多く、売られすぎな感じもあります。
2022年売上ランキング
下記のグラフは、各社の売上・経常利益・利益率を表しています。
左から時価総額の高い会社順に並べています。
2022年売上トップ・利益額トップは、ともにビンホームズ(VHM)でした。
EPS・BPS、PER比較
下記のグラフは、各社のEPS、BPS(左軸)・PER(右軸)を表しています。
左から時価総額の高い会社順に並べています。
EPSでみますと、HDGやPDRなどの会社も大変良い結果となっています。
配当利回りランキング
2022年度の配当実績です。Trading View データから取得しています。
昨年の配当実績÷現在の株価のため、過去の実績利回りではありません。
配当を出した会社が3社です。
Ticker | 会社名 | 配当(%) |
---|---|---|
VHM | ビンホームズ | 4.17 |
NLG | ナムロン投資 | 2.77 |
HDG | ハド不動産 | 2.65 |
会社紹介
ビンホームズ(VHM)
ホーチミン市のLandmark81などベトナムを代表する不動産会社です。
ビンホームズは、中高級市場を対象とした住宅用不動産分野で主導的な地位を維持し続けました。
ベトナムの住宅市場シェアは27%で、後続を4%以上引き離しています。
VHMは、最大1億6800万m2の広大な土地バンクを有しており、この土地バンクを活用しを有しており、今後も収益の拡大と市場シェアを維持することができます。
2023年のの販売額は98.6兆VND(前年-23%)、利益は 32 兆 8,350 億ドン(前年+9%)の計画です。
ナムロン不動産(NLG)
ベトナムの中堅不動産開発会社です。日本の阪急阪神不動産とパートナーを組み、品質のより住宅を提供しています。
2022年の収益は95%と目標未達の予定ですが、Mizuki Park, Akari City, Izumi City, Southgate and Can Tho projectsと順調に販売を伸ばしており、大きな問題はないように思います。Izumi City, Can Tho and Paragon Dai Phuocは、2023年の売上にも貢献していく計画です。
2023年は、売上6,461億ドン(前年+9.6%)`、利益2,050億ドン(前年-8%)となっています。
カンディエン不動産(KDH)
ホーチミン市(HCMC)で20年以上の実績を持つ不動産デベロッパーです。
ホーチミン市に600ヘクタール以上の土地を保有しており、そのエリアはトゥードゥックと西部地区の良い場所に集中しています。
2023年から2024年にかけて、Clarita、The Privia、The Solinaといった小規模プロジェクトの売却を計画しています。2023年から2024年にかけて、Clarita、The Privia、The Solinaといった小規模なプロジェクトを販売する予定です。
そのため、売上は、2023年4兆3040億ドン(前年比54%増)、2024年には7兆2,360億VND(前年比68%増)になると予測しています。
まとめ
今回は、不動産業界の会社について、比較・まとめを行いました。
2022年の株価暴落は、不動産業界の信用不安から始まったものとも言えると思います。
まだ不動産業界には信用不安が継続しており、積極的に買いが入れる感じではありませんが、ここまで落ちたら、ある程度のリバウンドはあるのではないかとも思っています。
無理は禁物ですが、財務が良い会社にリバウンドを狙う投資も良いかと思っています。
<参考資料>業界比較のまとめ記事です。
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